生業資金の記事(読売新聞)

◆80年以前在職者 平均255万円上乗せ 原資7割以上公費
 大阪市を除く大阪府内42市町村の職員全員が加入する府市町村職員互助会(約6万人)が「ヤミ退職金」とされる退会給付金とは別に、1980年3月以前から在職していた退職者全員に「生業資金」の名目で1人平均255万円を上乗せ支給していることが18日、わかった。原資の7割以上を公費が占める「第2のヤミ退職金」で、退会給付金と合わせた支給額は最高900万円近くに及ぶ。各市町村からは2000万〜3000万円にのぼる本来の退職金も支払われており、〈3段構え〉の公金投入に批判が高まるのは必至だ。
 同互助会によると、「生業資金」の受給資格者は、現時点で全加入者の約4割にあたる2万4500人。今後十数年間の定年退職者の多くが対象になる。原資として約393億円を「ヤミ退職金」とは別の会計にプールしており、今年度は約2500人に計63億9000万円を支給した。
 各市町村は70年代まで、同資金の原資として、職員の掛け金の3〜4倍にのぼる公費を負担していたが、80年に公費負担を2・5倍に引き下げることになって「給付水準の維持は困難」と制度を凍結。その時点の在職者が退職する際に金利分を加えて支払うことにし、一人ひとりの受給額を確定した。
 一方、すでに明らかになっている退会給付金は、生業資金に代わる制度として80年4月にスタート。退職者全員が支給対象で、在職期間と退職時の給料を基に最高565万円を一般会計から支払っている。今年度は約3600人に1人平均約380万円、計137億9000万円を支給。公費と職員の負担割合は1・64対1となっている。
 今年度末に退職する和泉市職員の場合、市の退職金は1人平均2658万円で、生業資金、退会給付金は計同498万円。平均総額は3100万円を超える計算になり、民間の水準を大きく上回る。
 退会給付金を巡っては、大阪高裁が昨年2月に「退職金の上乗せに当たり、自治体の補助金支出は違法」と判断。互助会側は上告し、高裁判決を無視する形で、来年度も3800人分、計144億4000万円を予算化。生業資金も2700人に57億5000万円の支給を予定している。
 互助会事務局は「生業資金は、80年に制度を凍結した当時の決定に従って支給を続けてきた。新年度に互助会事業の見直しを進める中で、生業資金のあり方も(互助会内の)評議員会で検討されることになると思う」としている。