五木の子守歌で知られる五木村に視察に行きました
五木の子守唄で知られる熊本県球磨郡五木村を訪れ、川辺川ダムについて視察しました。
熊本空港から高速道路を利用しておよそ2時間弱で役場に到着。山の中の道路を走っていると付け替え道路の建設が行われ、道路の進捗状況は8割とのこと。
途中深い谷を覗き込むと家屋の後らしいものもあり、目を国道に転じれば新築間も無いと思われる家もあって、ダム事業の影響が垣間見られる。
訪れた村役場は川辺川ダム建設に伴なう公共施設移転第一号として平成14年4月に完成したそうです。
公開設計競技を行い、事業費は約10億円。地元産業の木材をふんだんに使用した木造2階建ての建物です。
午後1時からおよそ2時間の視察には村長や議長も対応してくださいました。
川辺川ダムは治水と利水目的のダムです。
治水に関してはダム建設地点の計画高水流量3520トン/秒のうち3320トン/秒の洪水調節を行う。
利水は3400ha(1市6町村)の農地に対する灌漑用水の補給、相良発電所において最大出力16,500KWの発電を行うとなっています。
30余年前の事業計画費は340億円でしたが、平成8年までに1121億円投資し、平成13年に1520億円プラスされたので総事業費は2650億円、総貯水量13300万?、取水面積470km2の大規模なダムです。
昭和45年にダム建設反対の決議をあげた五木村ですが、紆余曲折を経て現在はダムによる地域起こしを行おうとしています。
水没地区は約50%にも上るそうですが、水没補償は9割がた終え、代替地に移転済み所帯50戸、予定所帯83所帯になるそうです。
本体の完成予定は平成21年頃の予定ですが、正式に本体工事着工とは決定されておらず、9月25日の結審の県収用委員会の結論や9月末に予定されている住民討論集会の結果など、まだまだ流動的な面を残しているそうです。
しかしダムにゆれる村の様子は全国のダム建設予定地同様、ここ五木村も例外ではありませんでした。
小学校に体育館が無いのは文部省(当時)が何時水没するかもしれない小学校の体育館に補助はできないという理屈と、建設省の建物があれば補償費が上乗せされるという思惑が働き、結果として体育館が営々30余年間無かったそうです。
村にとっても河川法による河川予定地指定を受けたことにより、水没予定地の移転促進が図られ、事業進展には貢献したものの、村独自のビジョンが自由に描けなかったマイナス面もあったそうです。
又ダムに対する村民のニュアンスにも微妙なものがあり、絶対反対から条件付反対まで対応は千差万別だったようです。熊本日日新聞によると国土交通省は安全を見越して高めの数字を設定し、ダムによるカットを主張。一方市民団体側は数字そのものが実態に合わないと主張し、独自に専門家による数字を示し、河床を掘り下げて十分対応できると主張している。
国事業の川とは言え建設となれば熊本県にも400億円の財政負担が重くのしかかる。
潮谷知事は次の選挙までにはゴーか中止かの決断が迫られるのは必定です。
その他の視察アルバム
(西口議員より拝借)