淀川水系5ダム見直し
国交省方針、中止の可能性
国土交通省近畿地方整備局は12日、淀川水系で整備中の五つのダム事業を見直す方針を明らかにした。今後の河川整備計画について住民らの意見を聴く淀川水系流域委員会(委員長芦田和男京大名誉教授)の部会に示した。見直しの中身には触れなかったが、同委員会はダム建設を認めない内容の提言をとりまとめる方同で協議しており、淀川水系で「脱ダム」が進む可能性が出てきた。見直し対象は丹生(滋賀県余呉町)、大戸川(大津市)、余野川(大阪府箕面市)、川上(三重県青山町)、天ケ瀬(京都府宇治市)の5ダム。完成済みの天ケ瀬は改修工事を計画中で、そのほかは本体工事前の周辺道路工事が進んでいる。国交省によると、国直轄ダムが着工後に中止された例はあまりないという。
同整備局はこの日、大阪市内で開かれた同委員会の猪名川部会に提出した資料に、5ダムについて「計画の内容を見直す」と明記した。同整備局の村井禎美河川調査官は部会後、報道陣から中止の可能性を問われたが、明言を避けた。今後20-30年間を視野に入れた淀川水系河川整備計画の策定に向けて、同委員会は「ダム建設は原則的に抑制する」「建設する場合は住民の合意が得られた場合に限る」との提言案を年明けにもまとめる方向。ダム建設に厳しい歯止めをかける内容だが、同整傭局は「提言は尊重する」との立場を示している。
河川整傭計画の策定は、97年の河川法改正で住民や有識者らの意見を聴く制度が導入され、01年2月に計55人の同委員会が設置された。猪名川、淀川、琵琶湖の3部会があり、河川の自然保護や治水対策などについて議論している。