大阪国税庁ヤミ退職金は給与と認定

大阪国税庁は大阪市が互助組合を通じて職員に支給している「ヤミ退職金・年金」を給与と認定した。互助組合は市と職員の間に入っていただけとして、公費負担分は全額給与とした。
大阪府市町村職員互助会では大阪市を上回る退会給付金(ヤミ退職金)を支給している。この退会給付金は大阪高裁で福利厚生の範囲を超えているとして違法との判断が下されており、現在互助組合が最高裁に上告中である。
今回の大阪国税庁の判断と高裁の判断は同じ考え方であり、最高裁の判断待ちではあるが、状況としては大阪府市町村職員に支給している退会給付金(現在退会餞別金)は違法との流れが定着するものと考えられる。

朝日新聞解説(4月15日朝刊)
互助組合-資金洗浄にメス
〈解説)大阪国税局が大阪市に通知した課税内容で注目されるのは、市が職員を税金で厚遇するために作り上げた「互助組織」への公費負担を、職員への「ヤミ給与」と認定したことだ。
大阪市は92年度まで、条例に基づいて互助組合が職員の在職期間に応じて最大で給料の約20倍の「特別退職一時金」を職員の退職時に支給していた。しかし、国から指摘され、廃止せざるを得なかった。その代わりとして考え出されたのが互助組織を使ったヤミ退職金・年金制度だった。
市は互助組合に公金を投入、四つの互助組合はさらに連合会をつくり、連合会が保険会杜と契約して職員が保険金を受け取る仕組みだ。
市が互助組織に金を流し、その金が保険料に化け、職員が保険金を受け取っていれば、当然、市が負担した保険料相当分は給与と同じ価値を持つ。市民の目を欺くための、マネーロンダリング(資金洗浄)といっても言い過ぎではあるまい。
その意味で「互助組合は単なる通過点に過ぎず、保険料負担者は市である」とした国税局の判断は、市民感覚にかなうものといえるだろう。
ヤミ退職金・年金に投じられた公金は304億円に上る。互助組織に残っている166億円の資金を全額市に返したとしても、なお約138億円が職員の「もらい得」になる。大阪市は残額についても職員から返還させるなどしてけじめをつけるべきだ。(井上道夫)