平成16年度市政運営方針
全文

豊かさと利便性を実感できる都市環境づくり

やすらぎと快適性を生みだす生活環境づくり

健やかで安心できる生涯福祉環境づくり

個性と生きがいを育む生涯学習環境づくり

にぎわいと活気に満ちた活力創出環境づくり

共生と人間尊重の人権文化環境づくり

その他



本日、ここに平成16年和泉市議会第1回定例会開催にあたり、平成16年度の各会計別予算(案)をはじめとする関連諸議案のご審議をお願いするに際し、市政運営の基本方針と主要施策の大綱について、私の所信の一端を申し述べ、議員各位のご賛同と市民のご理解、ご協力をお願いする次第であります。

私は、昨年11月の市長選挙に際し、市民の皆様方の暖かいご支援、ご信任をいただき、三度市政の重責を担うこととなりました。
あらためて、その使命と責任の重大さを認識いたしますとともに、新たな決意と情熱をもって、安心と信頼のまちづくりを市民の皆様と共に進めてまいる所存であります。
さて、わが国の経済は、全体として明るい兆しが見られる反面、イラク問題をはじめ不安定な国際情勢の下で、デフレ傾向はなお継続し、雇用・所得情勢も依然として厳しい環境が続くなど、日本経済再生への道筋は未だに不透明感をぬぐい切れない状況にございます。
このような中で、本年は、国と地方の三位一体改革の初年度として、国庫補助負担金の1兆円削減に伴い、国の基幹税である所得税の一部が所得譲与税として地方に移譲されるなど、今後の国と地方の関係を大きく変えていくであろうターニング・ポイントとも言うべき年でございます。
一方、国の地方財政計画は、地方歳出の徹底した見直しを前提に策定された結果、全国ベースでの地方交付税及びその代替財源となる臨時財政対策債の配分額が前年度と比べて大幅に縮減されるなど、全国の地方自治体にとりましては、不完全な税源移譲の下での補助金改革とあわせ、まさに「痛みを伴う改革」を実感する1年になるものと予測されます。
本市におきましても、その例外ではなく、これら一般財源の落ち込みに加え、市税収入等の自主財源の確保が容易でない中、これまでの事務事業見直しの取り組みを更に加速させていくことが急務となっております。
このように、今後しばらくは厳しい財政環境の荒波の中で市政を運営してまいらなければなりません。
しかし、私は、これを決して悲観的にとらえるのではなく、来たるべき地方分権時代にふさわしい「自立」と「風格」の和泉市を築いていくために、乗り越えていかなければならない一つの試練として前向きに受け止め、量から質の市政にシフトしていくことを基本に、より少ない経費で大きな効果を上げる施策・事業への転換を進めてまいる所存であります。
昨年は、お陰をもちまして、「和泉シティプラザ」と「和泉霊園及び北部コミュニティセンター」という第3次総合計画に掲げた2つの主要な事業が実現を果たし、大きな節目の年となりました。
また、全国的に雇用情勢が冷え込んでいる中、本市テクノステージでは、昨年から企業進出も活発化し、現在では既に2,300人を超える雇用が発生しております。
本年は、これらの成果も踏まえ、市民・NPO・企業など様々な活動主体の皆様と本市まちづくりの目標を共有し、信頼関係に支えられたパートナーシップの下で、それぞれが持てる力を十分に発揮し、役割と責任を担い合いながら、第3次総合計画の将来像である「豊かさを共有する人間都市」の実現に向けて、和泉市の将来を見据えた諸施策を展開してまいらなければならないと考えております。
以上、私の政治姿勢と信念の下に、平成16年度予算(案)を編成いたした次第であります。

それでは、平成16年度の市政運営の指標とその内容につきましてご説明を申し上げます。

1.豊かさと利便性を実感できる都市環境づくり
2.やすらぎと快適性を生みだす生活環境づくり
3.健やかで安心できる生涯福祉環境づくり
4.個性と生きがいを育む生涯学習環境づくり
5.にぎわいと活気に満ちた活力創出環境づくり
6.共生と人間尊重の人権文化環境づくり

以上を指標とし、編成いたしました平成16年度予算(案)は、

一般会計      51,160,000千円
特別会計(6会計) 38,809,224千円
企業会計(2会計) 13,618,849千円
計      103,588,073千円
となった次第で、
 これを前年度と比較いたしますと、

 一般会計        860,000千円(1.7%)の増
特別会計(6会計) 1,358,970千円(3.6%)の増
企業会計(2会計)   836,089千円(5.8%)の減
計       1,382,881千円(1.4%)の増

と相成った次第でございます。
 次に、指標に従い、順次その概要をご説明いたします。

1.豊かさと利便性を実感できる都市環境づくり

(都市・市街地環境の整備)
特定行政庁として、地域特性と調和した建築基準の確立に努めるとともに、震災に強いまちづくりをめざし、建築物の耐震性能の向上を促進するなど、すべての市民が安全かつ安心して住むことができる適正な建築の実現に向け、円滑な建築指導行政を推進してまいります。
また、住宅開発などの開発許可につきましても、本年から新たに事務移譲を受け、法の的確な執行による、本市にふさわしい開発指導行政を推進してまいります。
さらに、市域の7割を占める市街化調整区域における土地利用のあり方についても研究してまいります。
和泉府中駅前再開発事業は、事業費の縮減と財政負担の平準化を図り、事業計画の変更及び管理処分計画の策定に取り組むとともに、特に、施設建築物につきましては、引き続き民間活力の積極的な導入を行い、より効果的・効率的に事業を推進してまいります。また、用地買収につきましても、地元権利者との合意形成を図りつつ進めてまいります。
葛の葉町東土地区画整理事業につきましては、これまでの公共施設や宅地の整備工事に引き続き、本年は換地処分等を行い、スムーズな事業完了をめざします。また、現在事業化を検討しております隣接の地区につきましても、早期に事業着手ができるよう支援してまいります。
 市営住宅につきましては、平成14年度に策定いたしました「和泉市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、エレベーター整備事業を進めてまいります。
和泉シティプラザは、市民の交流活動や生涯学習の拠点施設として、また中南部地域の生活基盤施設として、オープン1年を迎えることとなりました。
すでに、これまでの利用者累計が100万人を超えるなど、「市民が集い、学び、ふれあえる和泉新時代のシンボル」にふさわしく、多くの市民に利用いただいておりますが、今後も引き続き、各種内容の充実と市民サービス向上のための取り組みを進めてまいります。
また、地域住民の拠点施設となります南部リージョンセンターにつきましては、用地造成工事に本格的に着手してまいります。
北部地域公共施設整備事業につきましては、魅力的で市民の憩いの場となる施設や市道の拡幅整備をめざし、引き続き取り組みを進めてまいります。

(交通環境の整備)
 国道では、480号府県間バイパス事業の更なる整備に向けた用地買収と、JR阪和線交差部のアンダーパス事業における用地買収や埋蔵文化財調査が進められており、両事業とも早期完成に向け促進要望をしてまいります。
また、国道170号の4車線化につきましては、南部リージョンセンターの供用に合わせた整備に向け、関係機関と調整してまいります。
  府道では、池上下宮線の大阪岸和田南海線から上伯太線までの区間の早期着手を要望してまいります。
また、大阪岸和田南海線は、王子工区の一部区間で工事が進められ、平成14年度に事業着手いたしました和泉府中工区(和泉中央線から泉大津阪本線)におきましても用地買収に入っており、両区間とも早期完成に向け事業の促進要望をしてまいります。
  市道では、光明池春木線の残区間(和泉中央線から府道父鬼和気線)につきまして、早期開通に向け事業を推進してまいります。
  あわせて、伏屋唐国線整備事業、上代町8号線整備事業、信太3号線整備事業などの推進を図るとともに、新たな幹線道路ネットワークの構築に向け事業中の上伯太線、伯太伏屋線につきましても、早期完成に向け、引き続き事業の推進を図ってまいります。
  次に、路線バスの運行につきましては、利便性を損なうことのないよう事業者に働きかけてまいりますとともに、和泉市コミュニティバス「めぐーる」につきましても、利便性の向上とより効果的な運行をめざし検討を重ねてまいります。
  また、市道の管理につきましては、道路パトロールを強化するとともに、通行等に支障を来たさぬよう、更なる道路維持管理に努めてまいります。

(情報ネットワークの整備)
国では、IT国家をめざし、今までのインフラ整備から利用促進へと軸足を移しはじめ、その第一歩として、確かな本人確認ができる手段である「公的個人認証サービス」を開始し、インターネットを使った国税の電子申告が可能となるなど、いよいよIT化に拍車がかかってまいりました。
本市におきましても、このような動きに歩調を合わせるべく、従来、紙ベースで行っていた申請・届出等がインターネット上でも行えるよう、所要の研究・検討に着手するとともに、事務の効率化や利便性の向上に努めてまいります。 
また、情報資産を有効に活用して事務の簡素化等を図るとともに、質の高い行政をめざしてまいります。
  さらに、本市ホームページは、タイムリーな情報発信とその充実に努めてまいります。

(安全なまちづくりの推進)
防災対策といたしましては、昨年12月、本市が東南海・南海地震の防災対策推進地域の一部に指定されましたことから、推進計画の地域防災計画への反映を行ってまいります。
また、市民の防災意識の高揚・啓発を図るため、防災マップの改訂や移動系防災行政無線の更新を行い、防災力の向上に努めてまいります。
消防防災対策といたしましては、火災・救急・救助体制を強化すべく、高規格救急車や集団災害発生時の人員搬送車の更新配備を行うほか、耐震性貯水槽を増設し、消防活動、消防水利の充実を図ってまいります。
また、救急救命士の応急処置範囲の拡大に向け、更なる病院研修・実習を重ね、気管内挿管等による高度な応急処置による救命効果の向上に努めてまいります。
  地域防災の中核であります消防団につきましては、消防ポンプ自動車等の更新を行い、施設装備の充実強化を図ってまいります。
また、自主防災組織の結成や育成を今後も推進し、市民参加の消防防災体制の構築に努めてまいります。

2.やすらぎと快適性を生みだす生活環境づくり

(公園・緑地の整備)
都市における公園・緑地は、緑豊かで安全、快適な都市環境を形成し、市民の心に「うるおい」と「やすらぎ」を与えるとともに、防災空間としても貴重なオープンスペースであります。
このため、黒鳥山公園、松尾寺公園などの用地取得を引き続き進めてまいりますとともに、その他の市内数多くの公園につきましても、市民に身近でより一層親しみのある公園となるよう、町会・自治会などの協力を得ながら、安全で良好な公園管理を進めてまいります。
一方、市民一人ひとりが「緑を観る喜び、大切に守り育ててゆく」気運の醸成を図るため、都市緑化フェアの開催や緑の週間キャンペーン活動、園芸教室などを和泉市公園緑化協会と連携を図りながら行い、緑化の推進・啓発に努めてまいります。

(下水道・河川水路等の整備)
公共下水道は、浸水の防止、生活環境の改善及び公共水域の水質保全という機能を果たす重要な都市基盤施設として、引き続き、汚水管と雨水管の整備を進めてまいります。
また、水洗化の促進につきましては、取り組みをより一層強化し、あわせて下水道会計の健全化に努めてまいります。
河川改修事業につきましては、勝江川の改修を計画的に進めてまいります。
さらに、市民に水と緑にあふれた快適環境を提供するため、水辺環境整備の一環として、ふるさとの川整備事業を推進してまいります。
すでに府道槇尾山仏並線付け替え道路の工事に着手している槇尾川ダム事業につきましては、今後も早期完成を図るため、国や大阪府に対し積極的に促進を要望してまいります。
地方分権一括法の施行に基づき、本年、国から譲与を受けます法定外公共物(里道、水路等)につきましては、近隣地の土地有効利用に寄与するために、適切な財産管理を行ってまいります。

(水道事業)
  水道事業は、「安全で良質な水道水の安定供給」を目標に、新しい水質基準への対応を図るため、水質管理体制の強化と効率的な運営に努めるとともに、将来予想される東南海・南海地震に備え、災害に強い水道施設の整備を推進していく方針であります。
  このため、事業面においては、市勢の伸展に伴い第4回拡張事業を継続する中、災害時における給水拠点の確保や施設・管路の改良に取り組み、あわせて危機管理体制の拡充を図ってまいります。
  また、今後ますます多様化、高度化する市民ニーズに応えるため、水道事業の将来計画を明らかにし、信頼される水道の構築のため、様々な機会を通じて、水道に対する理解と協力が得られるよう積極的な情報提供を行い、市民サービスの向上に努めてまいります。

(環境保全対策の推進)
地球環境にやさしいまちづくりを実現するため、すべての人々が環境に想いをめぐらせ、環境にやさしい暮らしや活動ができる「環境市民」となり、みんなで行動することを基本的な視点とした「和泉市環境基本計画」に基づき、環境保全対策の推進を図ってまいります。
  このため、市民の安全で健康的な暮らしに影響を与える大気・水質・騒音等の環境調査や事業所指導を行うとともに、残土処分場や廃棄物投棄現場などの監視パトロールを強化してまいります。
また、合併処理浄化槽の普及促進を図るとともに、適正な維持管理の啓発を推進し、公共用水域の水質改善に努めてまいります。
  さらに、市民・事業者・市のパートナーシップの充実を図るため、市民及び事業者が主体的に環境保全活動に取り組み、交流する場として設立された「いずみ環境くらぶ」を支援してまいります。
  ISO14001の取り組みにつきましては、3年という一区切りを終え、更新審査に向けて、より一層取り組みを強化するとともに、和泉市地球温暖化対策実行計画や地域新エネルギービジョンに基づき、環境負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会の実現をめざしてまいります。

(ごみ減量・リサイクルの推進)
  生活水準の向上による「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の社会経済システムの転換を図るべく制定されました「循環型社会形成推進基本法」に基づき、各種リサイクル関連法が整備されております。
  これらの法の趣旨を踏まえ、ごみの減量化・再資源化の促進にあたりましては、ごみを大量に発生させている現在の社会経済システムやライフスタイルを見直して、リサイクルと省資源を基本とした環境への負荷の少ないシステムの構築を図ってまいります。
特に、本年1月に開設した「粗大ごみ電話申込みセンター」により、ごみの減量化を推進するとともに、市民・事業者・行政それぞれの役割分担を明確にし、三者が一体となって意識改革を行い、ごみの減量化・再資源化を積極的に図ってまいります。

(いずみ霊園及び北部コミュニティセンター)
いずみ霊園につきましては、施設の近代化や充実を図るとともに、最新の火葬炉設備を導入し、火葬時間の短縮及び無煙・無臭化や環境に配慮した施設として、昨年7月にオープンいたしました。これまで利用者の方にご不便をおかけいたしておりました駐車場につきましても、旧施設を撤去して所要のスペースを確保いたしました。今後は、厳粛な中にも安らぎのある施設として運営してまいります。
また、霊園に併設の北部コミュニティセンターは、地域住民のコミュニティの場として、あわせて市民が利用しやすい葬儀が行える多目的な施設として、多くの方に利用していただけるよう努めてまいります。

3.健やかで安心できる生涯福祉環境づくり

(高齢者・障害者及び児童福祉の充実)
  少子高齢化が進展する中、高齢者福祉につきましては、保健福祉サービスや健康・生きがいづくりの拡充を図り、日常生活において自立不安の高齢者が要介護状態に至らないよう、また、その状態が進行することがないように、関係機関と連携し、高齢者自身の自立生活向上に向けた介護予防・生活支援事業に取り組んでまいります。
また、新たに痴呆性高齢者を中心とした要支援高齢者やその家族の方に対して、在宅介護に関する総合的な相談や情報提供を行い、福祉サービスの利用調整や継続した見守り支援を行う「痴呆性高齢者等サポート事業」や「高齢者住宅等安心確保事業」、また、「ふれあい・交流促進事業」や「高齢者引きこもり対策事業」など、健康で生きがいのある生活を送れるように積極的に取り組んでまいります。
介護保険制度につきましては、サービスを利用される方が増加し、高齢者にとっては身近なものになってきており、引き続き質の高いサービス提供を図るとともに、良好な保険財政を確立するため、各種健全化策に取り組んでまいります。
障害者福祉につきましては、支援費制度を推進し在宅障害者の生活を支援するとともに、地域社会の中で自立と社会参加の促進を図る「障害者生活支援事業」等を推進してまいります。また、障害者の自立を促し、生活訓練等を実施する通所更生施設につきましては、活動の場の提供だけでなく、地域で暮らす障害者に対する拠点施設としての整備を図ってまいります。
地域福祉につきましては、住み慣れた地域で誰もが安心して暮らすことができるよう、住民と連携した総合的な地域福祉の推進を図るため、「(仮称)地域福祉施策推進協議会」及び「(仮称)福祉でまちづくり委員会」等を組織し、地域福祉リーダー養成事業など、地域福祉の推進を図ってまいります。
さらに、地域における市民の自主的な福祉活動の充実を図るため、社会福祉協議会が推進しております「小地域ネットワーク活動」を支援してまいります。
  社会経済の不安定さにより、生活保護世帯も増加傾向にありますが、生活保護の適正実施のために、調査活動の強化や就労指導等適切な助言・指導に努めてまいります。特に自立支援のために関係機関との連携を図り、個々に対応したケース検討会議を開催するなど、就労指導の強化を図ってまいります。
  また、市民の各種福祉関係の相談窓口であります民生・児童委員協議会との連携を図り、健やかで安心できる地域福祉づくりを推進してまいります。
  子育て支援につきましては、家庭・地域を基盤とした子育て環境づくりをより一層推進するため、新しい試みとして、市と地元町会・自治会ならびに子育て支援NPO法人が連携し、子育て・子育ちを地域の目線で支援する「いずみエンゼルハウス事業」をスタートさせるとともに、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図るため、「次世代育成支援対策地域行動計画」を策定してまいります。
また、保育所運営にあたりましては、幸保育園を北部ブロックの多機能保育園として民営化し、新たに病後児保育や一時保育、長時間延長保育などの保育サービスを実施してまいります。
さらに、「食の安全・安心」のための新たな取り組みとして、保育所給食に地元のエコ農産物の一部導入を図ってまいります。
(国民健康保険事業)
国民健康保険事業は、地域医療の確保と市民の健康の保持増進に貢献し、わが国の医療保険制度の中核をなす重要な役割を果たしております。
しかし、近年の老人医療費を中心とする医療費の増嵩により、国保財政は依然として厳しい状況に置かれており、平成10年から据え置いてまいりました保険料につきましては、景気低迷の中、被保険者の負担が急激に増大しないように配慮しつつ、賦課限度額及び保険料率等について一定の見直しを行い、また、医療費及び適用の適正化などの内部努力を一層図り、国民健康保険事業の健全な運営に努めてまいります。

(保健・病院事業の充実)
  市民が、住み慣れた地域で心身ともに健やかで心豊かに生活を送るためには、生活習慣の改善に視点をあて、生涯を通じた健康づくりに取り組むことが大切であります。
そのため、「健康都市いずみ21」計画に基づき、「健康寿命」を延ばし、市民が自分らしく、いきいきと暮らせる健康都市の実現をめざします。また、「健康づくり推進市民会議」を中心として、健康課題を設定し、市民の生涯を通じた健康づくりへの支援を実施してまいります。
  重点的な取り組みといたしまして、市民による健康づくりをサポートするボランティアを養成する「ヘルスサポーター育成事業」に取り組んでまいります。
  また、和泉シティプラザの保健福祉センターを拠点として、健康づくりの各種事業及び健康講座を実施してまいります。
  さらに、保健事業につきましては、早期発見、早期治療の観点から、基本健康診査や各種がん検診などの受診率を高め、「自分の健康は自分で守る」という意識の向上を図ってまいります。
  次に、病院事業につきましては、地域医療の基幹病院として、より一層、病院機能の質の向上や救急体制の充実に努めてまいります。
  そのため、経営の健全化に向け、業務の効率化や経営改善に精力的に取り組むとともに、南館の竣工に伴い、救急診療の充実や集中治療室、女性専用病棟の新設により、市民ニーズに応えた診療業務に取り組んでまいります。
  また、中央館、北館、西館の改修工事に着手し、外来診療部門、待合いスペースの狭あい化の解消や、6人室を4人室とするなど、療養環境の改善に取り組んでまいります。
  さらに、がん治療のリニアックについては、高度な機能を持つ新しい機種に入れ替え、診療機能の向上を図るなど、市民に愛され、信頼される病院づくりに全力をあげて取り組んでまいります。

4.個性と生きがいを育む生涯学習環境づくり

(学校教育の充実)
地域に開かれた学校づくりを進めるため、本年はモデル校を指定し、地域の人々などの考えや意見を学校運営に生かす組織として「学校協議会」を設置してまいります。
次に、一人ひとりの子どもが「確かな学力」を身につけることができるよう、学級を分割した授業やティームティーチング(複数教員の対応)など、指導方法のより一層の工夫・改善を行い、個に応じた少人数指導の充実を図ってまいります。
  また、小学校1・2年生につきましては、本年から35人学級の編成に向け段階的に取り組み、きめ細かな指導をめざしてまいります。
  さらに、小学校にも外国人英語指導助手(ALT)を派遣し、小学生がネイティブスピーカー(英語を母国語としている人)による生きた英語に直接ふれることにより、英語に対する「関心・意欲・態度」や国際理解能力を高め、ヒアリング力、スピーキング力の更なる育成を図ってまいります。
  増え続ける少年非行の未然防止につきましては、特に道徳の時間を中心に、すべての教育活動を通して「命の尊さ」を指導し、人権尊重の意識を高め、豊かな心の育成を図ってまいります。
  また、スクールカウンセラーの配置数の拡充や、学校園教員補助員、スクールサポーターの派遣などを行い、子どもや保護者の不安や悩み等の解消に努めるなど、学校体制を積極的に支援できる対応を進めてまいります。
  さらに、児童・生徒の登下校中を含め、学校における安全確保体制の一層の充実を図るとともに、警察などの関係諸機関や地域教育協議会等との連携を強化してまいります。
  地域における子どもの健やかな成長につきましては、各中学校区の地域教育協議会の一層の活性化を図り、地域の特色がより生かされた取り組みを進め、子どもが地域の一員としての自覚を一層深めるよう支援を行ってまいります。
  次に、懸案の「(仮称)トリヴェール東部小学校」につきましては、平成18年4月の開校をめざし、校舎等の建設工事に着手してまいります。
また、学校施設の安全確保を図るため、小・中学校の校舎等の耐震診断を年次的に実施してまいります。
さらに、年次的計画で小・中学校、幼稚園の職員室に空調機器を設置してまいります。
 
(生涯学習と芸術・文化の振興)
   昨年オープンいたしました和泉シティプラザでは、自分の人生を楽しみたい、人生の幅を広げたいという市民のニーズに応えるため、桃山学院大学との連携による「市民大学」など、継続的な学習ができる講座の充実を図ってまいります。また、文化芸術振興のため、市民の生活と文化の活動拠点として、市民向け事業を展開し、自主的な文化芸術活動の促進を図ってまいります。
次に、歴史・文化遺産を保存・活用することにより、ふるさと意識の醸成と市民相互の精神的連帯感を育成し、心豊かなまちづくりにつなげるため、「ふるさと空間づくり」事業を進めてまいります。また、本年は安倍晴明千年祭記念事業を実施するなど、伝承文化の活用も図ってまいります。
美術館では、展示活動を通じて優れた美術品にふれることのできる機会を提供するとともに、各種講座や出版、インターネットなども積極的に活用し、芸術・文化情報を発信してまいります。また、市民参加の創作活動などを通じて、文化交流の場としても利用を図ってまいります。
図書館につきましては、シティプラザ図書館の開館により、前年度に比べ3倍の利用があり、今後も市民の多様なニーズに対応していくために、和泉図書館とシティプラザ図書館の2館を核として、人権文化センターの「にじのとしょかん」を加えた3館ネットワークによる図書館サービスの一層の充実を図ってまいります。
また、子どもたちの心を育む読書環境の整備に向け、学校図書館との連携を強化し、「子ども読書活動推進計画」の策定に向け取り組んでまいります。
すでに、学校図書館からインターネットを利用した蔵書への予約・提供を開始していますが、本年は一般家庭にも同様のサービスを提供し、一層の利便性の向上を図ってまいります。
社会体育の振興につきましては、「和泉市生涯スポーツ振興基本計画」に基づき、スポーツ・レクリエーション活動が行える環境づくりを推進するとともに、地域における新たなスポーツ文化を確立し、地域づくりや青少年の健全育成などに活かしていくため、総合型地域スポーツクラブの育成に努めてまいります。

5.にぎわいと活気に満ちた活力創出環境づくり

(魅力ある農林業の振興)
  環境にやさしく、安全で安心な農産物の生産・供給をめざし、減農薬栽培によるエコ農産物の普及・拡大、牛糞やチップ材等を活用した有機堆肥づくりへの支援など、環境保全型農業を促進してまいります。加えまして、市民農園、学校教育田、農と花のまちづくり事業等を通し、グリーン・ツーリズムを生活空間の中に育んでまいります。
 また、法人化以来、機動力を増す農業女性グループの活動支援や、地元農産物の学校給食等への導入拡大を図り、都市農業の持ち味を活かした「和泉版、地産・地消」を推進してまいります。
  土地改良事業では、泉州東部区域農用地総合整備事業や農業基盤整備を促進する一方、関連施設の管理運営に市民参加や民活導入等、新たな視点からの検討を進めてまいります。
  林業では、森林ボランティア活動の促進や地元産材の活用など、和泉林業の振興と森づくりに向け、森林組合と連携を図りながら、林業家と市民が一体となった取り組みを支援してまいります。

(商工業の振興)
  本市の地場産業をはじめ、中小企業を取り巻く経済環境は、やや回復の兆しを見せるものの、まだまだ厳しい状況下にあり、市内商工業の活性化に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
  中小企業の支援策といたしましては、経営相談や技術・創業支援など様々なニーズに応えるための身近な相談窓口として設置した「和泉市ものづくりサポートセンター」の新たな取り組みといたしまして、これまで実施してきた企業訪問の実績を生かし、下請け情報等の提供によるビジネスマッチングを積極的に展開してまいります。
また、市内全事業者に対し、商工施策・公的支援制度の紹介をはじめ、市内企業の技術・商品紹介、ビジネスマッチングの情報提供等を掲載した産業情報誌を発刊いたします。さらに、特許等の知的財産の取得を促進するための補助金を新設するなど、中小企業者に対するきめ細かな支援を行ってまいります。
  空洞化が進む商店街に対しましては、引き続き空き店舗対策を実施し、商店街の活性化を図ってまいります。
  観光振興につきましては、観光情報ステーションを拠点に観光インストラクターを活用するなどにより、本市の魅力である恵まれた自然環境や歴史・伝統文化を内外に情報発信するとともに、観光ボランティア登録の要請を図るなど、新たな観光施策を推進してまいります。また、人造真珠・ガラス細工・繊維製品等の地場産業のPRを積極的に行ってまいります。
  消費者行政につきましては、消費者専門相談員を週5日体制で配置し、消費者相談を実施してまいります。また、悪質、多様化している相談内容に対し、迅速かつ的確に処理するため、消費者相談窓口の拡充を図るとともに、市広報などで被害の未然防止と啓発に努めてまいります。
  労働政策といたしましては、失業率はやや改善傾向が見られるものの、雇用情勢は依然として低迷しており、労働者を取り巻く環境は大変厳しいものとなっております。
このような中、テクノステージ和泉への進出企業をはじめとする市内企業等へ地元雇用を働きかけ、就職情報フェアでの合同就職面接会を開催するとともに、就職に有利な職業能力の開発や向上を目的とした各種講習会を開催してまいります。また、職業能力開発奨励補助制度等による勤労者の自発的な技術研修への支援や、就労に困難な課題を抱える就労希望者の人々に対する「就労支援事業」を進めてまいります。
さらに、新たに職業安定法改正により、国が行っておりました「職業紹介事業」を市独自で実施するなど、就職と雇用の安定を図るための取り組みをより一層充実してまいります。
また、勤労者の福祉の充実を図るため、中小企業の退職金共済制度への加入促進や、和泉市中高年齢労働者福祉センター、勤労青少年ホームにおける労働者福祉にも努めてまいります。
テクノステージ和泉の企業誘致状況は、厳しい社会経済情勢下ではありますが、既に70%を超える誘致率を達成し、約70社の企業と2,300人を超える就労者を抱える産業団地として成長を遂げ、また、平成18年春には大阪府立高等職業技術専門校の開校も決定しております。
今後、テクノステージ和泉を地域経済の発展の拠点としていくため、研究成果活用プラザ大阪や大阪府いずみテクノサポートセンター、近接の府立産業技術総合研究所等の企業支援施設との連携を深めながら、新規産業の育成支援につながる環境整備の充実に努めるとともに、更なる企業誘致の促進を図ってまいります。

6.共生と人間尊重の人権文化環境づくり

(人権政策と国際化施策の推進)
 すべての市民が自分らしく輝いて暮らせる社会の実現をめざし、市民を主体とした人権教育・啓発の推進に協働して取り組める体制づくりや、「いのち・愛・人権」市民の集い、市民研修などの事業の充実・発展に努めてまいります。
 また、「和泉市人権行政基本方針」に基づき、同和問題の早期解決を図るための施策をはじめ、すべての施策を人権の視点からとらえ推進するとともに、人権に関わる市民団体・NPOや人権行政の協力機関である和泉市人権協会と協働しながら、情報提供や活動支援を行ってまいります。
 人権文化センターでは、自立支援に向けた相談事業の充実を図るとともに、人権啓発・研修事業及び生涯学習事業を展開するなど、様々な人権問題の拠点施設として、更なる充実に努めてまいります。
国際交流事業につきましては、友好姉妹都市締結後10年を経過し、代表団の相互派遣・交換学生事業が定着するなど、一定の成果を収めたところです。今後は和泉市国際交流協会などとも連携しながら、「草の根交流」や「人と人との交流」を大切にした事業を実施してまいります。
また、在住する外国人市民の民族や国籍の違いを認め合い、多文化共生社会の実現に向けた内なる国際化をめざし、市民団体・NPO等とも連携・協働し、積極的な取り組みを進めてまいります。

(男女共同参画社会の実現)
  少子高齢化、社会経済状況の急速な変化に対応していくために、男女共同参画社会づくりが求められております。
本市では、平成7年に策定した「和泉市女性行動計画(オアシスプラン)」の計画期間が本年で終了するにあたり、現状と課題、市民の意向を十分踏まえ、今後10年間の取り組むべき施策を明らかにした「第2期男女共同参画行動計画」を策定してまいります。
また、男女共同参画を推進するための条例につきましては、第2期行動計画の策定と併せまして、所要の調査・研究を進めてまいります。
男女共同参画社会づくりに係る市民啓発事業につきましては、昨年春開設いたしました男女共同参画センターを拠点に、「女と男のフォーラム」の開催をはじめ、アドバイザー養成講座や市民講師講座など、数多くの市民啓発講座を開催してまいります。
さらに、増加している女性問題等の相談に対応するため、一般市民から相談員を養成する「電話相談員養成講座」を開催してまいります。

(平和を求める社会環境づくり)
恒久的な平和を願う「核兵器廃絶・平和宣言都市」の理念を尊重し、すべての人々の基本的人権が保障された「平和の文化の社会」の実現に向けて、市民の自主的な活動である「人権平和事業実行委員会」による平和千羽鶴まつり、市民平和バス、人権平和展や各種研修・講演会などの事業を展開するとともに、より一層市民啓発に取り組み、平和な社会づくりを進めてまいります。

7.その他の施策

(市民参加とボランティア活動の推進)
  「アイ・あいロビー」をボランティアの活動拠点として、社会福祉をはじめ様々な分野で、市民が気軽に参加できるボランティア活動の推進を図ってまいります。また、各種ボランティア講座や研修会を実施するとともに、ボランティア団体や個人の育成支援に努めてまいります。
犯罪のない安全で安心なまちづくりは、地域の絆が重要であります。そのため、和泉市安全なまちづくり推進協議会の体制を強化し、地域に根ざした巡回活動や啓発活動をより一層促進してまいります。さらに、和泉総合防犯センターの活動を通じて、「自分達のまちは自分達で守る」という意識の高揚を図り、市民に巡回活動への参加を呼びかけるなど、より効果的な犯罪防止・抑止事業を進めてまいります。

(地方分権と行財政運営の効率化)
国の地方制度調査会は、昨年11月の「今後の地方自治制度のあり方に関する答申」の中で、「基礎的自治体優先性の原則」をこれまで以上に実現していく必要性を指摘しており、まちづくりや福祉など住民に身近な事務については、基礎的自治体で処理できる体制づくりが求められるなど、地方自治体のあり方が大きく変わろうとしております。
こうした中、地方分権に伴い移譲される事務について、より円滑・効率的に行える体制づくりを図るとともに、少ない経費でより大きな効果と成果を上げるため、今後も行政評価を活用し、更なる事務事業の点検と見直しを進めてまいります。
  さらに、長引く日本経済の低迷による雇用情勢の悪化や地価の下落などにより、市の歳入の柱となるべき市税収入が落ち込み、また、国と地方の三位一体の見直しが進められるなど、本市財政を取り巻く環境がますます厳しさを増している中、財政健全化に向け、抜本的な取り組みを推し進めてまいります。
職員につきましては、全体の奉仕者であることを再認識するとともに、公務員としての倫理観の高揚に努め、常に市民の立場に立って考え、行動するよう取り組んでまいります。また、引き続き、社会経済環境の変化に即応できる人材の育成を図ってまいります。
第4次和泉市総合計画の策定につきましては、地域別懇談会や小・中学生等を活用した取り組みを実施するなど、多くの市民の参加・参画により、まちの将来像を立案していただき、分権時代にふさわしい「市民の視点に立った計画づくり」をめざしてまいります。また、低成長時代において持続的に発展できるよう、様々な視点から創意と工夫を行ってまいります。

以上が、今回ご提案申し上げました平成16年度の予算(案)と市政運営の基本方針であります。
本予算(案)は、第3次和泉市総合計画に基づく本市のまちづくりを踏まえ、既存施策の拡充をはじめ、新たな行政需要にも対応するとともに、現下の厳しい社会経済情勢に即応した行財政運営を図ることを基本に編成いたしました。
なにとぞ、議員各位ならびに市民皆さまのご理解と力強いご支援、ご協力をお願いいたします。