再評価委員会槇尾川ダム事業継続を答申

H16.12.24 再評価委員会は槇尾川ダム事業の条件付き事業継続を答申した。
今回の再評価でもっとも重点が置かれたのが現計画のダム+河川改修と、ダムなし河川改修のみ(河床掘削)の比較であった。
ダム+河川改修が優位とされた理由はダム+河川改修の現計画の方が
@早く治水効果が期待できる
A地元との関係で円滑な事業推進が見込まれる
の2点からである。

この整理には大きな疑問がある。
まず簡単な方からいくと、
円滑な事業推進の件であるが、地元が要望しているのは治水であり、ダムを造ることではないはず。それなのにダムが地元の理解が得られやすいとはいったい何を物語るのか?
地元と言っているのは一部の有力者と言われる人は?多くの地元民はダムなど期待していない。
又地元との関係を理由に未来永劫にわたって存在するダムの存否を決めて良いものかどうか。大局的な判断が優先されるべきである。

次に早期に治水効果が発揮できる点については、
河川改修のみの方が治水の効果発揮まで時間がかかる理由を大阪府はこう説明した。
河川改修は下流から順次上流に向かって実施することが原則である。これは上流の流下能力を大きくすると下流の流下能力がこれに対応出来ない時はボトルネックで氾濫が発生し危険である。
従って中下流の河川改修(現計画)を終わってからでないとダムの代替としての上流の改修にかかれない。従って工期が長くなる。ひいては治水効果の発揮時期が遅れる。
これには大川橋から上流の河川の特性を全く無視した説明である。
大川橋から上流は河川勾配が大きく谷間で河川の側に平地が少ない所である。このような所で発生した洪水は河川とともに流下し、洪水地域に滞留しない地域特性がある。
大阪府の洪水検討資料でもこの地域の河川は沿川流下型として上に述べたように整理されており、氾濫した洪水は下流の河川に再び流入するとしている。
このことは大川橋上流の河川改修を行っても下流に対する負荷は変わらない事を示している。
即ち中下流の河川改修が終わらないと上流が出来ないという論拠は無く、同時に工事を行うことが可能で、従って治水効果発揮までの時間に大きな差は出ないことになる。
専門家の大阪府の担当者がこのことが分かっていないはずは無い。再評価委員会でも再々に亘ってこのことを委員が質問したが、最後までしらをきりとうした。

以上今回のダム+河川改修を優位とした判断は全くの誤りであり、ダムは最後の手段と言われる時代の流れと正反対の判断が下されたことになり、極めて残念である。