互助会の退会給付金に関し住民監査を請求

大阪府市町村職員互助会から給付される退会給付金(現在退会餞別金)を違法な支出として、和泉市監査委員に互助会へ支出された市の補給金の返還を求めて住民監査請求を起こしました。

和泉市職員措置請求書

件名

和泉市長、助役及びこれに関連した職員に対し、大阪府市町村職員互助会に対する退会給付金(現退会餞別金)に相当する支出の補填又は大阪府市町村職員互助会への返還措置並びに同会からの脱退を請求する。

 

1.請求の要旨

(1)請求の対象行為

和泉市は大阪府市町村職員互助会(以下互助会)に福利厚生事業を委託し、毎年2億円弱の委託料を支出している。(資料1)

(2)前記行為の違法・不当の理由

・給付自体の違法性

互助会の給付事業は多岐にわたるが、その事業の中で最も大きなものは給付の8割以上を占める退会給付金(現在は退会選別金)である。(資料2、3)

この退会給付金は退会時に正規の退職金以外に給付されるもので、和泉市の今年度の支給は最高で846万円、平均で498万円もの給付が見込まれている。(平成17年第1回定例会予算委員会での理事者答弁より)

この給付は互助会を通じてなされるものであるが、その原資の6割以上は市の補給金であり実質市が給付しているとみなされる。ちなみに今年度の予算でみると和泉市では掛金8327万8千円、補給金は1億3681万4千円で市の負担は62.1%。互助会全体では掛金31億9740万9千円、補給金は47億9611万4千円で自治体の負担は60%となっている。(本来平成17年度から負担割合は60%となるが、和泉市の予算は前年度の負担割合で策定されている)

この退会給付金は地方公務員法第42条「地方公共団体は,職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し,これを実施しなければならない。」を根拠に行っているものであるが、同時に同法第41条は「職員の福祉及び利益の保護は、適切であり、且つ、公正でなければならない。」とも規定されている。

これらの高額の給付は職員の元気回復の目的から大きく逸脱しているのは明らかであり、実質給与とみなされる。(別紙4,5)

既に大阪高等裁判所第13民事部、平成16224日判決において、同互助会に対する補助金支出は違法であるとする裁判例が存在し、直近の大阪国税庁の税務調査でも大阪市のヤミ年金・退職金を実質給与とみなし源泉徴収の対象となるとの判断が出ていることからも実質給与であることは疑問の余地がない。(別紙6)

以上から、この退会給付金は給与条例主義(地方自治法第204条の2)に違反する違法な公金支出である。

・厳しい財政にあってこのような支出は到底容認出来ない。

現在和泉市は財政再建団体への転落を避けるため、財政再建計画に則って財政再建中であり、今年度はその初年度にあたる。これに伴い使用料や手数料の値上げ等市民への負担増が現実のものとなっている。このような市民に対する負担増は財政支出の徹底的な削減があって初めて市民の理解を得られるものであり、かかるときに互助会への職員厚遇の違法支出は到底容認されるべきものではない。

 

・今後も違法支出が継続することについて

現在世論の厳しい批判を浴びて市の負担割合の削減及びそれに伴う給付の見直しを実施中であるが、過去の制度の見直し即ち生業資金、退会給付金、退会選別金への移行時にも基本的な給付の仕組みは改善されていない。

従って来期以降も違法な給付が残存することが容易に想像される。

 

(3)具体的な損害の認定について

・平成16年度に既に支出した補給金の内、退会給付金の財源と見込まれる割合を過去の実績からみて8割と考え、支出額1億5230万1千円の内1億2184万1千円を損害と認定する。

・平成17年度支出予定の補給金1億3681万4千円の8割で1億944万8千円の損害が見込まれる。

 

(4)措置請求事項

支出命令権者和泉市長およびその支出の適法性を審査しなければならない(地方自治法第232条の4第2項)収入役及びこれらの手続に関与した職員に対し

・市に平成16年度上記損害額を補填するか,補給を受けた互助会から返還させる事。

・平成17年度の関連支出を凍結すること。

・将来の事態発生を防止するため互助会との委託契約を解消し、同会から退会すること。

 

 

2.請求者

住所 和泉市緑ヶ丘2丁目13番地の10号

職業 和泉市市議会議員

氏名 小林昌子 

 

地方自治法施行令第242条第1項の規定により、別紙事実証明及び補強資料を添え、必要な措置を請求します。

平成17年4月22日

和泉市監査委員 殿

添付資料