平成16年第1回定例会一般質問の全文
住基ネットについて
<質問>
住基ネットは、平成14年8月1次稼働され、住民への住民票コードの通知、行政機関への本人確認情報の提供が始まりました。その後、昨年8月には2次稼働され、住基カードの交付、住民票の写しの広域配布、転入転出の簡素化が実施されました。そして、本年1月29日、住基カードを利用した公的個人認証サービスがスタートしました。

 これらの一連の流れの中で、私は個人を11けたの番号で管理することによる個人情報管理のあり方についての危機意識から、住基ネットへの接続を中止するよう機会をとらえて和泉市に求めてきました。その間、国及び府県に対して第3次住基ネット差しとめ訴訟の原告の一員にもなって住基ネットの不当性を訴えてきました。
 最近では、佐賀県鳥栖市での虚偽申告を見抜けず、住基カードを別人に交付した件、三洋信販の顧客情報32万人分流出、ヤフーBBの 470万人の顧客情報流出、さらに最近では、ジャパネットたかたの最大約66万人の顧客情報が漏れた可能性が明らかになるなど、個人情報の流出が続いています。

 そこで、お聞きします。
 まず1点目は、昨年8月の稼働以来の住基カードの発行枚数。次に、住民票の広域交付の件数。さらに、本年1月末から開始された公的個人認証サービスを受けた人は何人いますか。

 続いて、2点目をお聞きします。
 先ほどの個人情報漏えい事件にもありますように、個人情報の保護は極めて重要な課題であり、その意味から、住基ネットを含む自治体の情報セキュリティーのあり方が問われています。昨年、長野県で住基ネットの侵入テストが実施され、この結果が先ほど公表されました。この結果についてどのように評価され、また和泉市として改善すべき課題はありますか。お聞きします。

<答弁>
 生活環境部理事兼生活環境課長(今井 誠君) 生活環境部の今井でございます。
 まず、住民基本台帳カードの見込み枚数と交付枚数でございます。交付の見込み数といたしましては 4,500枚。交付枚数といたしましては、平成16年2月末現在で 121枚となっております。

 次に、2点目の、住民票の広域交付につきましては、平成16年2月末現在で、総数 158件。その内訳といたしまして、本市の住民が他市で住民票の交付を受けた件数は 120件。他市の住民が本市和泉市で住民票の交付を受けた件数は38件でございます。
 続きまして、3点目の公的個人認証サービスによります電子証明書の交付につきましては、平成16年2月末現在で6件でございます。

 次に、長野県の侵入実験の調査結果につきましては、長野県から総務省への最終報告書の内容を検討した結果、総務省から各都道府県あてに庁内LANからコミュニケーションサーバーへの侵入実験は成功していない旨の通知が来ており、また住基ネット本体の本人確認情報に対する具体的な危険性も確認されなかったと判断しているところでございます。
 続きまして、侵入実験後の本市の改善につきましては、さきの長野県の侵入実験で住基ネットと接続している市町村の庁内LANがインターネットと物理的につながっていても、ファイアーウォールの適切な設定、管理を通じ、セキュリティーを確保できることは明らかであるとされており、本市におきましても特にこれを改善しているものではございません。住基ネットの1次稼働以降、職員研修、また細心によるセキュリティーパッチなど、日ごろからセキュリティー対策を講じているところでございます。

 なお、御承知のことと思いますが、住民基本台帳ネットワークの1次稼働として、行政機関への本人確認情報の提供、また2次稼働としまして、住民票の広域交付、住民基本台帳カードの交付につきましては順調に稼働しているところでございます。

<再質問>
 先ほど住基カードの発行枚数、広域交付の枚数をお聞きしましたが、この件数は当初想定されたものとは大幅にかけ離れた低い結果となっていると考えられます。
このことは、和泉市だけでなく府内の各市も、無料で住基カードを発行している羽曳野市を除いて、すべてにわたって低調な結果が出ています。
2次稼働が始まって既に半年を経過した今日、市民はこの住基ネットのシステムに意味を見出せていないものと私は考えます。

 そこでお伺いいたします。
 まず1点目は、このシステムにかかった費用、1次費用、運用費用を含むものをお答えください。既にこのことはお聞きしていますが、再度お伺いいたします。なお、今まで人件費を除く費用を説明されていたと思いますが、想定ですが、運用費の中で人件費が最も大きなウエイトを占めると思いますので、想定で結構ですのでそれも含めてお願いいたします。

 続いて2点目は、住基ネットの稼働に伴う効果の件であります。
 今まで自治体の事務効率の向上、住民サービスの向上等のお題目は出ていましたが、本格稼働後半年を経過し、具体的な効果、例えば役所の窓口事務の効率化が図られたので人が減った、あるいは事務の時間がこれぐらい短縮した等、具体的にお教えください。先ほどもお聞きしましたように、住基カードの発行枚数、広域交付の件数などから推しはかって、目に見えた効果は出ていないと私は考えておりますのでお聞きいたします。
 さらに、始まったばかりですが、公的個人認証サービスについてお尋ねします。
 利用者がほとんどないのは、まだ始まったばかりでやむを得ない点もありますが、このサービスを市民はどれほど知っているでしょうか。3月の広報いずみに、お知らせの欄に記載されていますが、ここには安全な電子申請を実現するため確実な本人確認と、情報改ざん防止が行われる公的個人認証サービスが1月29日から開始されますとの前文と、対象、申請手続、発行手数料について記載されています。これを読んだだけでは、何のための公的個人認証かが全くわかりません。
安全な電子申請とは一体どんなサービスなのかもさっぱりわかりません。

 市民にとって、この公的認証サービスを受ければどんなメリットがあるのか理解できないと思います。和泉市は本気でこれを進めるつもりがあるのか疑いたくなりました。さらに、ICカードを使った個人認証について、上越市は住民票の写しや印鑑登録証明書をとるのに使う上越ICカードを今年度限りで休止することを決めました。
年間 2,400万円の運営維持費がかさむ一方で、証明書交付の利用率がわずか 0.7%と低迷し、費用対効果が低いと判断した結果です。和泉市も同じようなことになるのではありませんか。

 そこで、この公的認証サービスを実施するのに要した費用は幾らですか。先ほども述べましたように、このシステムは費用ばかりかかって、市民からそっぽを向かれるサービスになる可能性が高いと私は考えますが、和泉市の見解をお聞きします。

 また、住基カードの16年度の交付見込み枚数、それと自治体システムのセキュリティーの問題についてお聞きします。

 質問に入る前に、先ほどの御答弁では、総務省の見解に基づき云々との御説明をいただきましたが、この住基ネットシステムで問題が発生した場合の責任は、すべて自治体の首長にあるわけでありますので、総務省の方ばかり見るのではなく、公開されている長野県の調査結果を吟味する必要があると私は考えています。実際にこの調査結果をごらんになりましたか。御意見があれば答弁ください。

 先ほどの答弁では、庁内LANからCSへの侵入ができなかったと述べられました。確かにそのとおりです。インターネットからも侵入はできなかったし、他都道府県の住基ネットにも侵入できませんでした。侵入できないというより、テストをしなかったというのが正しいと思いますが、いずれも侵入というイメージからは大丈夫であったというのが正確ではないかと私は考えます。

 しかし、これには条件があります。インターネットから侵入できなかったのは、その自治体がファイアーウォール等の適正な設置、タイミングを失しないパッチ等からの侵入に対して完璧なセキュリティーレベルであったためであり、このようにセキュリティーレベルがすべての自治体にも期待できるのかというと、それはかなり難しいものであると私は考えます。当和泉市でも、後ほど述べますが、かなり心もとないというのが現状であります。

 そこで、質問いたします。住基ネット4情報よりはるかに重要な情報を保有している既存住基システムや、税国保システムには、庁内LANから侵入できたという結果が長野からは出ています。例えば、無防備なハブの口から侵入することができたというようなことですが、和泉市ではこのような心配はないのですか。本庁だけでなく出先も含めて確認されましたか、お聞きします。

 次に、和泉市のセキュリティーレベルに関してお聞きします。

 セキュリティーレベルに詳しい人の話によりますと、和泉のセキュリティーレベルは問題であると先日指摘されました。その方によりますと、ある課のパソコン2台にウイルスバスターが入っていましたが、右側のパソコンと左側のパソコンとはシリアル番号が全く同じだったそうです。したがって、左側のパソコンのウイルスバスターは、ウイルスのパターンの更新ができなくて入れていないのと同じとのことでした。

 さらにその人いわく、もうこうなったらその課のパソコンリテラシーはゼロです。ウインドウズアップデートもやっていませんでした。さらに驚いたことに、この2台、バッファローのエアステーションという無線LANでインターネットを行っているんですが、無線LANなのにWEP暗号化キーを設定していないんです。エアステーションなんて使っている人は多いんですから、WEPなしだと他の人がラップトップのパソコンにエアステーションの無線カードをつけたまま役所近辺でパソコンを使えば簡単にアクセスできるというあきれ果てたものでしたということです。

 かなり専門用語が入っていますので、私は最初これ説明を受けなければなかなかわからなかったんですが、でも庁内にお見えになった市民の方は、そういうふうにぱっと見ただけでわかられるんですよね。それで、これが事実なら大きな問題であると考えます。このような事例も含めて、情報セキュリティー向上のために市はどのような対策を実施していますか。あるいは実施予定かお聞きします。さらに、情報セキュリティーについて外部監査を受けることは考えられませんか。お尋ねいたします。

 以上でございます。

<答弁>
生活環境部理事兼生活環境課長(今井 誠君) 生活環境部の今井でございます。

 まず、住基ネットワークシステムの初期費用の投資は、人件費を除いた総費用はおおむね 5,314万円の見込でございます。内主な費用といたしましては、システム関係として、平成13年度までには約 3,570万円、平成14年度は約 1,430万円、平成15年度といたしまして約 314万円の見込でございます。なお、ランニングコストといたしましては、人件費を除いて約 500万円でございます。

 次に、2点目の導入効果につきましては、このシステムで国の行政機関10省庁 264の事務が本人確認情報の提供により、年金などの現況届、パスポートなどの各種申請時の住民票の添付などの省略化が図られております。また、全国どこの市町村においても住民票の写しがとれること、住民基本台帳カードの利用により成り済まし転出などの不正行為の防止が可能となってまいります。

 一方、行政サイドでは、国の行政機関の事務で本人確認情報の提供により、国、府、地方事務の簡素化、効率化が図られているものでございます。

 なお、本市の事務の具体的な導入メリットにつきましては、国などの行政機関におきまして本人確認情報がなされていることから、住民票の交付に係る事務が減少しておりますが、その具体的な内容については把握できておりません。

 次に、4点目の公的個人認証の導入費用につきましては、総額63万円でございます。

 次に、5点目といたしまして、住基カードの交付が少ないが、本市の見解と16年度の交付見込み枚数につきましては、住基カードの見込みより少ないのは、住基カードや住民票の広域交付の2次稼働が昨年8月25日からであり、市民への周知期間、カードの利用価値などの必要性が問われているものであると分析しております。なお、今後も引き続きPR及び付加価値の検討をしてまいりたいと考えております。

 また、最後に、平成16年度の発行見込み枚数につきましては、 2,000枚を予定しているところでございます。

 以上でございます。

企画財政部理事(中井正二君) 企画財政部の中井でございます。

 再質問の3点、長野県における住基ネットの侵入実験を踏まえた本市の状況は、それから庁内のセキュリティーについて、それと外部のセキュリティー監査の実施についての3点に御答弁申し上げます。

 まず、本市の住基ネットと接続されている庁内LANでございますが、利用しておりますハブ等につきましては、かぎ付き収納ボックスにて管理し、万が一かぎが壊されパソコンを接続されても、既存住基等はサーバー方式ではなくホストと端末機との関係になり、パソコンの知識が相当あったとしても非常に難しく、なお不正なログオンを防止するためパスワード等の設定をしております。

 また、ファイアーウォールについては、不用な空きポートはなく、セキュリティーパッチは随時提供され、その都度チェックし、常に最新のパッチをかけております。当然のことながら、シティープラザ出張所とは回線にて接続しており、その回線としましては、総合行政ネットワークに利用しておりますセキュリティーの高い回線と同じ種類でございます。このように、セキュリティー対策を講じておりますが、長野県の住基ネットの問題も真摯に受けとめ、引き続きセキュリティー強化に努めてまいりたいと考えております。

 次に、御指摘のございましたセキュリティー面につきましては、御指摘後即対応をしておりますので、御理解のほどお願い申し上げます。

 最後に、外部のセキュリティー監査の実施でございますが、情報セキュリティーの確保のためには、情報システムの利用者の情報セキュリティーに対する意識向上はもちろんのこと、これらの情報に関して利用者個人の裁量でその取り扱いが判断されることのないよう、組織として共通の認識が必要であり、その指針となる情報セキュリティーポリシーを平成16年2月に策定いたしました。策定したからといって、セキュリティーの強化には即つながらず、この指針を各個人が理解してこそ効果を発揮するものであり、今後職員研修等を実施してまいりたいと考えております。

 情報セキュリティー監査の実施については、総務省から示されている地方公共団体における情報セキュリティーの監査のあり方に関する報告書を参考にしながら、セルフチェックリスト、自己点検の実施に取り組んでまいります。また、外部のセキュリティー監査につきましては、必要性は十分認識しており、早期実施に向け検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

<再々質問>
 先ほどの御答弁で住基カード発行枚数を切り下げて 2,000枚とする答弁がございました。現在毎月10枚弱の発行枚数で、 2,000枚というのは到底達成が不可能と考えますけれども、何か対策をお考えでしょうか。

 さらに、住基ネットワークシステムの効果について住民票添付の義務がなくなり、これが事務効率の向上につながっているとのお話と伺いましたが、それでは実際の住民票の発行枚数が平成13年から15年の3カ年、9月から2月で結構ですので、どのぐらいの発行枚数かお聞きいたします。

<答弁>
生活環境部理事兼生活環境課長(今井 誠君) 生活環境部の今井でございます。

  2,000枚の根拠につきましてということでございます。これに関しまして、過去の議会等でも御答弁させていただいておりますように、年間の交付見込み数といたしまして、その枚数を確定するということは難しいものがございます。また、16年度につきまして、当然住基カードの交付状況を勘案しながら発注してまいりたいと考えております。

 次に、2点目の、過去3年間、9月から2月までの6カ月間の住民票の発行枚数といたしましては、13年度6万 1,267枚、14年度6万 3,993枚、15年度といたしましては、5万 8,663枚となってございます。

 以上、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

<要望>
 今、発行枚数をお聞きしましたけれども、格段事務効率の向上が図られるような住民票の発行枚数の軽減ではないと思って、今お聞きいたしました。せっかく住基カードのこのシステムを導入されたんですから、総務省が言うようなこの効果を求めて御努力はいただくと思うんですけれども、今後経過を見せていただきたいと存じます。

 庁内情報のセキュリティーの問題は、庁内のIT化の進展に伴い、ますます重要な課題となってまいります。今回、諸対策を実施あるいは実施予定とお聞きしましたが、一度問題が起こればその責任はすべて市長が負わなければならないと考えております。総務省の指示に従っていても免責はされません。その点からしても、外部監査を早急に行っていただきますように強く要望いたします。
小地域ネットワークについて
<質問>
現在、社会福祉協議会を中心に取り組んでいただいています小地域ネットワーク活動の中で、いきいきサロンはよく知られていますが、子育てサロンについてはまだ十分な認識が得られていないように思われます。しかし、府内各地で取り組まれています子育てサロンは、情報交換、触れ合いの場として急速な広がりを見せています。本市においても、子育て支援の面から大事な施策と考えますが、子育てサロンの現状についてお聞きします。
あわせて、小地域ネットワークの現状及びそれへの補助金についてお聞きします。


<答弁>
 健康福祉部長(森本良治君) 健康福祉部森本より、小地域ネットワーク活動に関します御質問に御答弁申し上げます。
 まず、小地域ネットワーク活動の現状と子育てサロンについてでございますが、小地域ネットワーク活動につきましては、支援を必要といたします方を対象に、保健福祉、医療の関係者と住民が協働して進める見守り援助活動であり、ひとり暮らしや寝たきり老人世帯などが地域の中で孤立することなく安心して生活できるよう地域住民による支え合い、助け合い活動といたしまして、本市におきましては社会福祉協議会が実施主体となって、平成10年度より実施いたしているところでございます。

 また、現在小地域ネットワーク活動につきましては、校区社会福祉協議会が中心となりまして、市内全20小学校区で組織されておりまして、個別援助活動でございます見守り、声かけ訪問等や、グループ援助活動でございますひとり暮らし老人の会、いきいきサロン活動等の活動が行われているところでございます。

 また、活動の一環でございますいきいきサロン活動につきましては、ボランティアと高齡者等が、手芸、カラオケ、ゲーム、健康体操等の活動を行っているところでございまして、現在 111カ所におきまして活動をいたしているところでございます。

 次に、子育てサロンにつきましては、地域を拠点に子育て家庭の親子など地域住民が多様な活動を通じまして子育てを楽しみ、仲間づくりを行う支え合う活動でございまして、現在緑ヶ丘地域、また青葉台地域で実施されているのが現状でございます。

 次に、小地域ネットワーク活動の補助金の件でございますけれども、補助金につきましては 1,000万円でございます。また、この補助金 1,000万円につきましては、20校区の校区社会福祉協議会へ1校区当たり30万円、合計 600万円を補助いたしまして、残りの 400万円をグループ援助活動といたしまして、各校区社会福祉協議会の活動状況に応じまして、いきいきサロンやひとり暮らし老人の会の会食等に補助することによりまして、小地域ネットワーク活動の推進を図っているところでございます。

<再質問>
 先行して実施しています緑ヶ丘のふれあい子育てサロンについて少しお話しをさせていただきます。

 昨年4月より立ち上げ、月1回のペースで開催されていまして、対象者はゼロ歳から就学前の子どもと保護者、活動の担い手は民生児童委員、主任児童委員、元保育士、自治会会員、老人会会員などの地域の方々で、参加費は 300円ということで運営されています。

 ここに子育てサロンの広報紙があります。このような形で自治会の回覧やあるいは町会の10何カ所かあります掲示板にお知らせをして、毎回15組ぐらいの親子の参加があります。
行事内容は、リズム体操、手づくり工作、大型絵本、水遊び、ジャンボお絵かき、あるいは、たまにはお子さんと離れてお母さんだけでゆっくりティータイムをということで井戸端会議、近くの公園へ散歩、お正月遊び、豆まき、こんなふうにいろいろ工夫していただいております。

 また、来月はお母さんだけでなく、お父さんのコミュニケーションもということで、父親参観の子育てサロンも計画されています。当初1年間はボランティアが主になり企画運営してきましたが、この4月からの2年目は、参加される皆さんが運営していくということも自発的な声が上がりまして、そのような形態になっていくと思われます。

 このように、地域の中で子育てサロンは、当事者の親子だけでなくそれを支える地域の方ともネットワークが築かれ、まさに地域の力が発揮される事業だと考えます。しかしながら、現在はバックアップ体制がありませんので、会費及び関係者の善意で運営されています。16年度以降の支援や推進について考えをお聞きします。

 次に、いきいきサロンについてお伺いいたします。

 現行の補助金制度のままでは、参加者が多くなればなるほど、活動すればするほど経済的に大変になっていくと思われますが、この点についてどのように考えておられるのかお聞きします。
また、小地域ネットワーク活動の補助金に関する実績報告には領収書が添付されていないようですが、このことについて考えがあればお聞きします。

 <答弁>
健康福祉部長(森本良治君) 健康福祉部、森本よりお答え申し上げます。

 まず、子育てサロンにつきましての補助の件でございますけれども、社会福祉協議会におきましては現在補助はいたしておりませんけれども、子育てに悩む親の方々を支援する取り組みといたしまして、地域で芽生えつつございます子育てサロンに対しまして活動状況を把握する中で、平成16年度より小地域ネットワーク活動の一環といたしまして、支援や推進を図ってまいりたいたいと社会福祉協議会より報告をいただいているところでございます。

 次に、いきいきサロンにつきましては、現在1カ所当たり月 2,000円を補助しているところでございますけれども、小地域ネットワーク活動に対します補助のあり方につきましては、事業実施から5年が経過いたしているところから、さまざまな御意見をいただいているところでございます。

 こういった中、課題を整理する中で実態に即しました補助金の配分方法につきまして、社会福祉協議会において協議を行いまして、平成16年度におきまして一定の見直しを行うとの報告を社会福祉協議会よりいただいているところでございます。

 次に、小地域ネットワーク活動の補助金に関する実績報告に伴う領収書等のチェックの件でございますけれども、現状では社会福祉協議会におきまして各校区社協が領収書等関係書類を保管いたしまして、実績報告書を提出いただいているところでございますけれども、今後につきましては、実績報告書の提出時の領収書等の件につきましては、社会福祉協議会の方に御相談申し上げてまいりたいと、かように考えているところでございます。

<要望> 

 子育てサロンについて、参加されている方から毎回アンケートをいただいておりまして、ここにアンケートのたぐい御紹介したくってたくさん持ってまいりましたが、時間の都合もありますので1点だけ紹介をさせていただきたいと思います。

 1年間ありがとうございました。緑ヶ丘も子どもが少なくなっていたと聞いていたのに、来てみたら結構多くて驚きました。先日暖かな日に3号公園へ行きました。グリーンアップルの人、子育てサロンの人が他に5人来られ、約束していなかったのに皆でおしゃべりしながら遊びました。サロンに参加していたから知り合えた方々が多く、また初めのころは泣いていた息子が楽しく参加できるようになりました。本当にボランティアの方々には感謝しています。

 というようなお声もいただいておりまして、また、昨年12月9日に、大阪府民生児童委員協議会連絡会と大阪府社協が主催となって、子育てサロンサークル育成交流会が開催されました。これは、当日配布された資料集でありますが、この資料集の中にも、この和泉市の子育てサロンの実例が13ページにわたって紹介されております。今後小地域ネットワーク活動推進のために御努力いただけるということですので、よろしくお願いいたします。
槇尾川ダムについて
<質問>
1点目は、前回の質問の中のいぶき野調整調整池についての回答がありません。最後に要望の中で基本高水への影響を計算するよう要請してあります。要望だから回答がないのであれば、再度今回、いぶき野調整池が廃止された場合の基本高水への影響を示してください。具体的には、いぶき野調整池が残っていた場合に、基本高水がいかほどになるかを明らかにしていただきたいと思います。

 続いて2点目です。前回の定例会で、ダムができても洪水は防げないとの答弁がありました。これは、河川改修が 100年耐用できていないので、洪水は防げないとの答弁であったと思います。それでは、 100年耐用の河川改修が終わった段階では、昭和57年のような水害は発生しないのでしょうか。お聞きします。

 さらに、57年の水害についての被害について、このときの被害は幾らでしたか。被害総額、浸水面積などお聞きします。また、その昭和57年の水害が発生したときの大雨のレベルは、今回のダム計画で言えばおおよそ何年確率の大雨であったのでしょうか、お聞きします。

 3点目は、槇尾川ダムの進捗状況についてであります。取りつけ道路、ダム用地買収等の進捗はどのようになっていますか。あわせて、来年度に予定されている槇尾川ダムに関する大阪府の予算はいかほどでしょうか。道路建設、用地買収等区分してお答えください。

<答弁> 土木下水道部理事(清水義博君) 土木下水道部の清水でございます。

 小林議員さんの槇尾川ダムに関連いたします数点にわたる御質問に御答弁申し上げます。

 まず、前回一般質問をいただき、大阪府へ問い合わせしておりました事項について御答弁申し上げます。

 槇尾川ダム地点におけます洪水到達時間や、貯水容量についての算出根拠につきましては、大阪府としては既にお答えしたとおりであり、求められた洪水到達時間算定などにつきましては問題がないと考えているとのことであります。

 続きまして、槇尾川の板原地点での基本高水流量には、中安総合単位図法を用いて求めております。その検証に当たって用いた合理式での値は次のとおりとなりますとして、前回 706立米の数字をお示ししておりましが、その計算式を示していただいております。計算式といたしまして、Q=1÷ 3.6×f×Aで、おおむね 706立米/秒となっております。Qは最大洪水流量、立米/秒。Aは流域面積として 56.72ヘクタール。rを洪水到達時間内での雨量強度で62.1ミリ/時間。fを流域平均流出係数を 0.721、流出到達時間2.28時間として計算されております。

 また、槇尾川の河川計画の中で採用の 100年確率の最大降雨強度が大き過ぎるのではないか、また、比流量もほかの河川とは異なるが、その理由を示してほしいにつきましては、槇尾川を含む大津川水系では、河川の重要度、過去の洪水被災、地域の社会的、経済的重要度を考慮し、計画規模を 100年に1度発生する確率の大雨にも対応できることとしています。

 大津川水系の治水計画は、昭和27年の豪雨による大出水を契機に、昭和46年にその基本となる流量などを定めています。計画降雨の算定には、気象台岸和田観測所の明治24年から昭和39年の降雨を用い、 100年確率の計画降雨として、86.9ミリ/時間、 345ミリ/日を定めています。槇尾川については、大津川水系であり、治水計画の一貫性から計画降雨の86.9ミリ/時間、 345ミリ/日を採用しています。

 平成9年の河川法の改正により、新たな河川整備の計画制度である河川整備基本方針、河川整備計画及びこれらを策定する手続が導入され、大津川水系においても、平成12年度に計画規模 100年確率の雨に対応した河川整備基本方針及び河川整備計画を策定しました。

 計画規模 100年確率の降雨、計画降雨86.9ミリ/時間、 345ミリ/日の実現性においては、昭和27年に計画降雨を上回る日雨量 362.5ミリ/日が観測されており、この計画降雨は過大なものではありません。比流量については、各河川の延長や流域面積、土地利用状況などにより、たとえ同じ降雨による計画でも同じ値となるものではありません。

 以上が大阪府からの回答でございます。

 次に、いぶき野調整に関する板原基準点での基本高水への影響についてでございますが、平成9年の改正により策定された大津川水系河川整備基本方針及び大津川水系河川整備計画においては、治水ダムと河川改修によって整備を行うとし、当面50ミリ対応が可能な河川整備を行うこととされています。いぶき野調整池に関する板原基準点での基本高水の影響につきましては、大阪府へ問い合わせていきたいと考えております。

 続きまして、2点目の、ダム完成時の水害防止効果についてでありますが、まず 100年耐用の河川改修が終わったときには、槇尾川ダムの計画の契機となったと言われる昭和57年のような水害は発生しないのかにつきましては、槇尾川では、河川改修とダムによる洪水調節との組み合わせで 100年確率に対応することとしております。これらがすべて完成すれば、昭和57年8月規模の降雨には対応できますと聞いております。

 また、昭和57年当時の被害についてでございますが、被害の把握が困難であるのが実情でございまして、どのようにお答えするのか正しいのはわかりませんが、大阪府にお聞きするなどしまして、資料に記載されております内容としてお答えさせていただきます。

 まず、平成11年の大阪府建設事業再評価委員会の資料によりますと、昭和57年8月3日の浸水被害状況の合計が、和泉市全体で 197.4ヘクタール。そのうち槇尾川が原因と考えられる排水区の面積の合計が11.2という記載になっております。

 また、建設省河川局が昭和57年1月1日から12月31日を調査期間として取りまとめた昭和57年水害統計によりますと、昭和57年災害による被害額は、泉大津市、和泉市、忠岡町の2市1町の水害被害額は46億 600万円となっております。そのうち和泉市の水害被害額は約9億 5,700万円となっておりまして、その内訳といたしましては、一般資産など被害額約2億 8,700万円、公共土木施設被害額約6億 6,400万円、公益事業等被災額約 600万円となっていると聞いております。

 昭和57年の大雨が何年確率に相当するのかにつきましては、大阪府にお伺いしたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。

 3点目の、槇尾川ダムの進捗状況についてでございますが、まず、平成14年度末の進捗状況でございますが、工事用道路につきましては約 190メートルが工事済みでありまして、進捗率にして約6%となります。また、用地買収につきましては、買収済み面積は約1ヘクタールでありまして、進捗率にして約5%となります。以上のようにお聞きしております。

 なお、15年度の進捗状況につきましては、年度途中でございますので数字がまとまっていないとのことですが、残りの工事用道路や用地買収につきましても地元の皆様の御協力をいただいておりまして、順調に進んでいると聞いております。

 続きまして、今後の事業進捗に関係いたします平成16年度の大阪府の槇尾川ダムの関連予算でございますが、大阪府にお聞きしたところ、平成16年度の当初予算額は3億 4,400万円ということであります。その主な内訳は、公有財産購入費2億 5,000万円、工事請負費 4,000万円、委託料約 3,100万円、保障・補てん及び賠償金 1,500万円、その他事務費など約 800万円となっておりまして、そのほかに土地開発公社資金が7億円となっていると聞いております。

<再質問>
 再質問に入る前に一言申し上げます。

 私は、槇尾川ダムについて今まで何回も質問をさせていただきました。それについては、同じことを何回も質問している細かな数字の話で一般質問には問題だ、これは国と大阪府の事業だから、和泉市の議会で質問することは不適当だ等々の御意見があることは重々承知しています。
それでも、私は本日ダムの質問を行います。
なぜでしょうか。最大の論点は国、大阪府の事業であり、この議会での質問は適当でないという点であります。確かに事業の主体はそうです。しかしながら、このダムは我が和泉市にできるのです。このダムができたことによる治水効果も、環境その他へのダメージも、すべて和泉市民がこれを担わなければならないのです。

 さらに言えば、国、大阪府が費用を負担しているとはいえ、結局は国民の税金であります。市民の税金で事が行われているのです。
私は朝の駅等で会報を配布をするとともに、ダムの反対署名をお願いしています。多くの方が署名してくださいます。このことは、昭和61年に大津川水系改良工事全体計画の中で、このダムが位置づけられてから既に20年近く経過した今日でも、市民の中にこのダムについて多くの疑問を持っているのにほかなりません。この市民の疑問に今までも対応していただいていますが、市は誠実に答える義務があります。

 稲田市長は、今回の施政運営方針でも槇尾川ダムの推進を明言されています。なおさらのこと、市民の疑問に答えねばなりません。私は、槇尾川ダムの見直しを公約し当選させていただきました。疑問を持つ市民を代表して質問しています。市民が納得いくまで私は質問を続けさせていただきたいと考えています。

 先ほど、前回の一般質問への回答がございました。これについては多くの疑問がありますが、一般質問としては専門的な事項が多いとの批判もいただいておりますので、これについては文書にて質問を行います。後ほど質問状をお渡ししたいと考えております。

 また、いぶき野調整池の問題については、前回の定例会で既に質問させていただいております。今回間に合わないとのことですが、早急に対応していただくようお願いいたします。

 それでは、再質問させていただきます。

 1点目は、ダムが完成後の水害の発生の件であります。

 先ほどの答弁では、ダム及び河川改修がすべて完成後は、昭和57年8月規模の降雨には対応可能との答弁ですが、対応可能という意味は、水害は発生しないという意味ですか。お答えください。

 次に、2点目ですが、昭和57年の大雨が何年確率に相当するかは大阪府に確認するとのことですが、平成11年の再評価委員会の資料によりますと、横山観測所の観測では、最大時間雨量37ミリ、日雨量が 194ミリとあります。一方、平成12年の大津川水系整備河川基本方針に10年確率の雨量が時間最大雨量41.7ミリ、最大日雨量 163ミリとあります。

 したがいまして、昭和57年の大雨はおおよそ10年確率の規模に相当すると考えられます。これについては大阪府に確認ください。仮に10年確率とすると、そのときの被害総定額は幾らと想定していますか。お聞きします。

 次に、3点目ですが、ダムの進捗状況が平成14年度末で工事用道路6%、用地買収が5%のことですが、これは当初計画から見て予想通りでしょうか。

 以上でございます。

<答弁>
土木下水道部長(木寺正次君) 土木下水道部の木寺でございます。

 小林議員さんの数点にわたります再質問に対してお答えを申し上げます。

 まず、昭和57年8月の大雨がございまして、非常に大きい被害が生じたわけでございます。その中で、先ほどの質問では、 100年確率の対応ができれば被害が出ないのかという御質問でお答えさせていただきましたのは、いわゆる川の波形等、いわゆる槇尾川から出ますそういった被害が出ないというふうなお答えをさせていただきましたが、確かに浸水等の、川だけに降るわけではございませんので、その辺のあれぐらいの雨があれば出るのかなということで、槇尾川ダムに関します被害というのは当然 100年耐用の規模での対策講じますから、そういったことでは出ないと。

 ただ、ほかの、例えば雨水等の対策あるいはそのほかの管理河川等の形はまだまだ十分でございませんので、そういった形では出るのかなというふうに考えてございます。

 次に、その場合の被害額でございますが、仮に10年確率、57年8月の時間雨量37ミリ、 194ミリ/日ということで、それが何年確率になるのか、先ほど清水の方からお答えさせていただきましたように、これは10年確率なのか5年確率なのか、私の方では、私どもとしては判断できかねるということで、府の方へまたお問い合わせさせていただきたいと考えますが、仮に先生おっしゃるように10年確率ということを想定したらどうかという、想定の被害額はどうかという御質問でございます。

 大阪府がそういった形で想定されている専門的な数字、これにつきましてもそういったたぐいのものでございますので、市としての判断が非常に困難でありますけれども、平成11年度建設事業評価委員会に提出されました資料の中では、10年確率計画規模での想定被害額、これはダム調節前で 588億円というふうな数字がございます。

 それと、現在のダムの進捗状況でございますけれども、6%またあるいは5%という形でございますけれども、これはおおむね順調に進んでいるものと考えてございます。

 以上でございます。

<再々質問>
 御認識のとおり、河川改修ができても、その相当量の雨が降れば水害は起こります。ダムの早期完成を望む市民の多くは、ダムができればこのような水害から逃れられると考えて賛成しているのではないでしょうか。

 今日まで槇尾川ダムに関する槇尾川ダム通信が大阪府から12回にわたって発行されていますが、この広報紙にダムの効果について記載しているのは、2号の槇尾川ダムが完成すれば槇尾川全線にわたってその効果を発揮し、特に上流部に対しては大きな治水効果を発揮します。

 3号で、これまで大津川(河口から槇尾川と牛滝川の合流点まで)については、 100年に1度の大雨に対応できる河川改修が終わっています。しかし、槇尾川の治水安全度は非常に低い状況です。現在は治水対策の1つのステップとして、10年に1度の大雨に対応できない区間について工事を進めています。さらに、 100年に1度の大雨にも対応できるよう並行して槇尾川ダムの建設を進め、攻略いたします。

 4号では、槇尾川ダムは河川改修とあわせて計画されている治水ダムで、洪水による被害をなくし、流域の皆様の生命と財産を守ることが目的です。

 最新の12号では、最近森の働きをとらえて、緑のダムがあればコンクリートのダムは要らないといったように、コンクリートダムのかわりとして使われる場合があるんだ。だけど、バケツをひっくり返したような 100年に1度の大雨が降ると緑のダムにも限界があるんだ。だから槇尾川ではコンクリートのダムが必要なんだ。

 このように、この記事を見ると、ダムができれば 100年に1回の大雨でも水害は発生しないと考えるのではないでしょうか。確かに洪水は防げます。でも水害は軽減されたとしても、完全になくならないことも合わせて記事に書く必要があるのではないでしょうか。市民に正確にダムの効果を説明していません。これでは市民は誤解しても仕方ありません。見解をお聞きします。

 最後にお尋ねいたします。それはダムの費用対効果の件であります。ダムができればすべてが解決ということにはならないのですから、ダムをつくるかつくらないかは費用対効果の問題になります。ダムをつくってかかる費用と、ダムによって水害が軽減された効果の比較で判断すべきであると考えます。大阪府の計画でも、この費用対効果を検証した資料があります。それによりますと、費用に対し効果が10.4倍もあるということであります。この費用対効果に関して、効果の算定の前提となる被害想定についてお聞きします。

 まず、昭和57年の災害時の想定被害の件ですが、先ほどの答弁で、57年の被害は46億円と答弁されています。一方、このときの大雨に相当する10年確率の被害想定も、先ほどの御答弁で 588億円となっています。12.8倍も被害が大きく見積もっていますね。被害を大きく見積もることは、その被害から算定するダムの効果を大きく見積もることにほかなりません。

 今回のダムの費用対効果に対して効果が10.4倍あるので、ダムは費用対効果の面でも有用だと言っています。単純に先ほどの12.8倍で割り戻せば、効果は十分でないということになります。

 さらに想定している 100年確率の大雨の場合はどうでしょうか。 100年に1度の雨が降ったとき、ダムがないときの被害、大阪府は 4,745億円と想定しています。これは、先ほど10年確率の被害総定額を答弁いただいた 588億円を説明した平成11年の再評価資料の同じ表のところに記載されている数字です。

 そこで、大雨が降ったとき実際どのような被害が出ているのかを調べました。文部科学省の独立行政法人であります防災科学技術研究所の主要災害調査から代表的な2つの災害を、本当は3つを調べたんですが時間がありませんので1つを割愛して、2つを申し上げます。細かな数字ですが。

 平成5年8月に発生した九州南部鹿児島県の災害です。この年は6月の梅雨による災害から9月の台風13号の災害まで大きな災害が立て続けに発生した年で、その5回の災害を合計しますと、死者、行方不明 119人、負傷者 337人、住宅の全壊 719棟、半壊 885棟、一部損壊2万 7,797棟、床上浸水1万 627棟、床下浸水1万 2,111棟、災害救助法適用13団体、このときの被害は全体で 2,329億円となっています。

 次に、平成12年9月に発生した東海地方の豪雨です。多分御記憶に新しいところだと思います。同研究所の主要災害調査38号、平成14年7月の資料には、次のように記載されています。平成12年9月11日から12日にかけ、台風14号が愛知県を中心として東海地方に名古屋地方気象台観測史上最大の総雨量 567ミリ、最大時間雨量93ミリという降雨をもたらした。河川では、基本計画高水位を超える大洪水となり、溢水や破堤が発生し、市街地では雨水排水路網がはんらんし、過去40年間の大水害中最大の一般資産営業停止損失等、被害額が記録された。また、名古屋という大都市の3分の1が浸水し、場所によっては2メートル以上の浸水深が記録されるなど、伊勢湾台風に次ぐ大きな水害となり、社会的にも大きな影響を与えた。

 ここでのもう細かな数字は申し上げませんけれども、このときの浸水面積は2万 9,413ヘクタールです。これは、ダム計画の 100年確率規模の想定はんらん区域 1,030ヘクタールの30倍弱に相当いたします。浸水面積が30分の1なのに、被害額は3分の2です。おかしいと思われませんか。

 この3つの災害は、被害額は 2,329億円から 7,300億円です。今回計画の 100年確率の大雨の被害はそれに匹敵する 4,745億円です。いかにこの計画の被害想定が過大であるかがわかっていただけると思います。被害額を過大に想定し、それから洪水防止効果を算定しているのですから、費用対効果が大きく出るのは明らかであります。これは一種のごまかしであると考えます。これをどのように考えますか。見解をお聞きいたします。

 最後に、少し簡単な計算をしてみます。今のダムの計画は 130億円で、ダムということでなっておりますので、維持管理費用に投資額の 0.5%で 6,500万円。施設の償却費として投資額の4.64%で、6億 300万円の計6億 6,800万円の費用が毎年確実に必要となります。この数字は、大阪府の再評価委員会の数字であります。

 一方、被害の削減効果は、例えば昭和57年の災害の例では、先ほどの答弁で、槇尾川に起因する浸水面積は11.2ヘクタール。全体の浸水面積が 197.4ヘクタールとなっていますので、仮に被害が面積に比例すると考えると、被害総額は46億 600万円にこれを掛けて2億 6,200万円の削減効果となります。10年に1度の災害ですので、10年間に先ほどの維持管理費67億円がかかり、一方災害は1回ですので 2.6億円の軽減期待額となります。費用が67億円、効果が2億 6,000万円。全く効果のない計画と言えます。当然10年確率以上の大規模な大雨のことも考慮しないといけませんが、それを考慮しても大阪府の言うような費用に対して10.4倍もの効果があるとは到底考えられません。見解をお伺いいたします。

 以上でございます。

<答弁>
土木下水道部の木寺でございます。

 再々質問にお答えを申し上げます。

 まず、ダム通信に関してでございます。ダム通信、いわゆる槇尾川ダム通信につきましては、平成12年1月に創刊された大阪府の広報紙でございまして、本市といたしましても、槇尾川ダム建設事業についての理解や関心を高めていただき、広く市民の皆さんから積極的な御協力をいただくための重要な広報ツールであると、かように考えてございますので、御理解のほどお願い申し上げます。

 次に、災害時の、例えば 588億円とか46億円とか、あるいは 4,700云々というふうな数字がございまして、過大ではないのかというふうな御意見でございます。これらいずれにいたしましても、大阪府が算定されている専門的な数値でございますので、再度大阪府の方に詳細をお聞きした上でお問い合わせをさせていただきたいと考えております。

 先ほど先生の方からも再評価委員会、あるいは建設事業の評価委員会というふうなことでお言葉もございましたので、大阪府の建設事業評価制度につきまして、若干お話しさせていただきたいと思います。

 建設事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を図るため、大阪府では建設事業評価制度を実施いたしておりまして、槇尾川ダム建設事業につきましては、平成11年度に再評価が実施され、5年が経過することから、平成16年度、事業の再評価が行われるものとお聞きをいたしております。

 平成11年度に開催された再評価委員会での主な審議内容でございますが、槇尾川ダムが治水を目的として計画されていることから、その効果や役割について慎重な御審議をいただいてまいりました。大阪府知事に提出されました意見具申では、大阪府が計画している時間雨量50ミリ対策は、府民が最低限保障されるべき水準、いわゆるシビルミニマムであり、大津川水系全体にわたってこの水準を満たすことは行政の責務であると。

 したがって、槇尾川上流部においてこの水準を確保するには治水対策が必要であり、さらに将来必要となる 100年に1度の降雨対策の観点からも、治水対策としてのダムの有効性は認められるとされており、さらに府の治水ダム計画には基本的な誤りがあったとは言えず、その効果や事業採択の根拠となった河川流量が過大である等の指摘につきましても、これらは安全に対する備えについての判断であり、府民の安全に対し責務のある行政の政策的判断として基本的に問題はないというふうにされております。

 しかしながら、ダム計画上の技術的な問題や自然環境については府民の皆さんからさまざまな御意見があり、委員会の見解として、平成9年に改正されました河川法に基づき、大津川水系の河川整備基本方針と河川整備計画を策定し、あわせて自然環境についての対応策を検討するなどの条件が付されまして、事業計画との判断がなされたところでございます。

 このことから、大阪府ではこれらの条件をクリアするため、大阪府河川整備検討委員会に諮問し、平成12年度に地元住民等の御意見を踏まえた基本方針や整備計画を策定するとともに、槇尾川ダムの自然環境保全についても専門家の意見を聞き、基本方針を策定されたと伺っております。また、これらの検討結果につきましては、平成12年12月に開催されました大阪府建設事業再評価委員会に報告もされ、委員会の了承が得られたことから、現在槇尾川ダムの早期完成を目指して、用地買収や工事用道路の建設を進めていただいているところでございます。


 なお、平成16年度の評価委員会については、現在開催日程を含めて未定とのことでございます。

 以上でございます。

<要望>
 特に答弁を求めませんでした16年度の大阪府の再評価のことまで触れていただき、ありがとうございました。

 私が先ほど申し上げましたことの中で、大阪府に問い合わせて御回答をいただけるというような件が幾つもございます。現課にはお手数をかけますけれども、余り遅くない範囲で御回答をいただけますように、大阪府に重ねて要望していただきますことをお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。