職員互助会について

質問
 
当市が多額の補助を行っています、職員互助会についてお聞きします。
 先般、吹田市で、吹田市が職員の福利厚生を担う社団法人大阪府市町村互助会に支出していた補助金が、職員への事実上のヤミ退職金に回されているとして、吹田市民が互助会、元吹田市長、元出納責任者を相手に、吹田市への損害賠償を求めた住民訴訟の判決が2月24日にありました。高裁は、退職手当以外に高額の退会給付金を支給することは、職員厚生制度としては本来的なものではない。補助金は地方公務員法の趣旨にも反するなどとして、補助金を自治体に返還するよう同互助会に命じたものでした。極めて厳しい判決であったと考えます。

 ついては、次の点についてお聞きします。
 1、互助会に対する和泉市の補助率と補助額、及び本人の掛金について、平成11年度からの推移。
 2、互助会の給付事業と健保組合厚生会の給付事業が重複しているのはあるか。なお、健保組合厚生会への補助率は。
 3、平成15年度に退職した職員の互助会退会給付金の額と退職手当の額を、定年退職と勧奨退職別の平均支給額は。
 4、市長特別職が互助会に加入していることに対する市の考え方は。
 5、互助会の給付事業に占める退会給付金の割合と金額は。また、今後の退会給付金のための繰越金額は。


答弁

◎総務部理事(石川清君) 総務部の石川でございます。互助会に対する御質問に対しまして御答弁申し上げます。
 まず1点目の互助会に対する市負担と本人負担の割合と額でございますが、平成11年度から平成15年度までは、割合といたしましては市負担65%に対し本人負担35%でございまして、平成16年度から平成20年度までは、市負担62%に対し本人負担38%でございます。なお、平成21年度以降は、市負担60%に対し本人負担40%となるものでございます。
 また、額と率を申し上げますと、平成14年度、15年度の市負担は給料月額の1000分の26、本人負担は1000分の14でございまして、平成14年度の和泉市の負担額は1億7,701万6,178円、本人負担が9,541万2,422円、平成15年度が、和泉市の負担額1億7,039万6,526円、本人負担が9,186万988円でございます。

 次に、2点目の健康保険組合と互助会の給付事業でございますが、互助会からの給付といたしましては、入院費補助金として1日2,000円、人間ドック補助金として利用者負担額の75%、休業補助金として給料月額の80%、なおこれは無給期間中に限ります。次に、傷害見舞金として傷害の程度に応じ60万円以内、死亡弔慰金として50万円、出産準備金として5万円、結婚準備金として10万円、入学祝金として幼稚園、小学校、中学校、高校がございまして、おのおのの給付額が2万円、3万円、4万円、5万円でございます。

 また成年祝金として6万円、在会慰労金としては10年、20年、30年がございまして、おのおのの給付額は2万円、5万円、10万円でございます。結婚記念祝金としては15年、25年がございまして、おのおのの給付額は3万円、5万円でございます。最後に退会給付金は、在会年数に応じて支給されます。なお、退会給付金は平成16年度から退会せんべつ金に制度が変わっております。

 以上が互助会からの給付でございまして、これらのうち健康保険組合からの同趣旨の法定給付等といたしまして、療養給付費等、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金が支給され、保険事業として人間ドックがございます。なお、厚生会からは健康管理推進の観点から、人間ドック補助金として1,000円を支給しております。

 また、健康保険組合の負担割合につきましては、平成15年3月31日までは市負担70%に対し本人負担は30%でしたが、平成15年4月1日以降は市負担66%に対し本人負担は34%でございます。厚生会の市補助金は、職員1人につき7,000円でございまして、平成16年度では大阪府からの派遣職員を除く1,599名分1,119万3,000円を補助しております。なお、本人負担はございません。

 続きまして、3点目の平成15年度の互助会の退会給付金の平均給付額は583万2,023円で、退職手当につきましては定年退職の平均支給率が2,591万4,027円、勧奨退職は平均年齢が54.4歳で、平均支給額は2,954万8,035円でございます。

 続きまして、4点目の市長特別職が互助会に加入している件でございますが、互助会の定款では、第4条で会員の範囲を定めておりますが、一般職と特別職の区別ではなく常勤か非常勤かによって区別され、常勤の職員を会員としております。また、定款第20条では、雇用主責任として積極的に互助会運営に参加する立場から、互助会の議決機関の中核をなす評議員会の構成員として、半数にわたる選定側議員に原則市町村の長が選出されていることを考えると、むしろ会員として加入することが望ましいと考えております。

 最後に、5点目の府下全体の互助会の退会給付金の占める割合につきましては、互助会の平成14年度決算で申し上げますと、給付事業の総額128億2,352万5,878円のうち、退会給付金が107億5,701万9,210円で、全体に占める割合は83.9%となっております。また、繰越金は566億9,413万4,547円となっております。
 以上、よろしくお願い申し上げます。

再質問
 先ほどの答弁にもありましたように、多額の税金が投入されている互助会であります。互助会について市民は知る権利がありますし、是正を求める権利も有していると考えます。互助会への支出の根拠は、地方公務員法、厚生制度、第42条、「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」地方自治法、寄附又は補助、第232条の2、「普通地方公共団体は、その公益上必要のある場合においては寄附または補助することができる。」さらに、地方財政法、予算の執行等、第4条、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度を超えて、これを支出してはならない。」とあります。

 すなわち、職員を対象にして公益性があり、かつ必要最小限でなければならないとあります。互助会のパンフレットページ4の会費及び補給金の説明では、一見すると職員の会費は退会給付金に、市の負担である補給金は給付事業その他に充てるように記されています。地方自治法からしても、これは正常な姿で、補給金の支出は退会給付金には充てられないものと考えるのが自然と思われます。

 ところが、先ほどの答弁にありましたように、互助会からの給付の大部分は退会給付金となっています。おかしいですね。いかがお考えでしょうか。
 さらに、先ほどの答弁は600万円弱の退会給付金が支給されています。職員の掛金をはるかに超えた額が支給されていると考えますが、これについてお尋ねします。600万円の内訳をお教えください。

 続いて、退職金に上乗せすることについてお尋ねします。先ほどの答弁で、定年退職の2,600万円の退職金の支給は民間に比べて恵まれていると思います。経団連の2002年9月の調査結果では、60歳定年で管理事務に従事する大学卒社員で2,512万円、高卒社員で2,256万円、生産従事者で1,821万円となっています。このような状況下で、さらに退会給付金を第2の退職金として給付する必要は全くないと考えますが、いかがですか。ヤミ退職金と言われてもやむを得ないと考えます。
 この互助会制度は、先ほどの答弁にもありますように、退会給付金が給付実績の80%を超える極めていびつな構造となっています。ヤミ退職金を支給するための制度となっていませんか。

 福岡県内の64市町村の職員福利厚生組織などでつくる社団法人福岡県市町村福祉協会は、この退会給付金を廃止も含めて見直す方針を明らかにしています。大阪高裁判決を受け、3月末に理事会を開き、見直しのための検討委員会を6月に発足させて、10月に結論を出す方針を決め、掛金受け取りを4月から見合わせています。高裁判決の当事者の互助会に参加している和泉市はどのようなお考えか、お聞きします。

 次に、支給内容についてお聞きします。先ほどの給付対象の答弁で首をかしげたくなるようなものがあります。その1つは、子弟の幼稚園、小学校、中学校、高等学校の入学祝金であり、2つ目は、15年、25年に支給される結婚記念祝金であります。この祝金だけで和泉市に限っても平成14年度で1,000万円を超える給付がされています。また、結婚記念祝は25年のときは5万円のお祝金にプラスして、5,000円の記念品とギフトカード1万円分が、再婚に関しては1回限り5万円が給付されるようになっています。また、調整加算として結婚、出産の準備金及び入学、結婚記念の祝金の給付もいずれも受けていない会員には、5万円加算支給するとあります。

 民間でも、共済制度として出産祝金などのいろんな祝金の制度がありますが、このような対象に祝金が出されるのは聞いたことがありません。自分たちの掛金のみで運営しているのであれば、どのような給付をするのかは自由ですが、多額の税金が投入されている互助会では許されるものではありません。市民感覚と全く遊離しているとしか言いようがありません。早急に是正すべきと考えますが、いかがですか。

 最後に、市長及び特別職の加入の件ですが、互助会の定款からして、これに加入することは問題ないとの答弁ですが、互助会の定款より上位法である地方公務員法では、先ほど述べました42条にさらに、この法律の適用を受ける地方公務員法第4条、「この法律の規定は、一般職に属するすべての地方公務員に適用する。」「この法律の規定は、法律に特別の定がある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。」とあります。つまり、地方公務員法でいう職員とは一般職の職員を指すのです。この法律によれば、市長及び特別職が互助会に参加することは適当でないと考えます。

 さらに、定款にて、市長ほかが雇用責任者として互助会の運営に参加する立場から、評議員に選出されていることは理解できますが、このことと互助会の受益の立場となることは無関係と考えます。一般の会社からいえば、取締役の経営者と一般従業員との関係と同じであり、従業員が受ける共済制度は経営者には適用されないのが普通と考えますが、お考えをお聞きいたします。

答弁
◎総務部理事(石川清君) 総務部の石川でございます。
 まず1点目の退会給付金についてでございますが、互助会の事業運営資金は職員の会費と市の補給金により運営されております。その資金の使途につきましては、互助会が評議員会等で検討し、具体的にどのような制度を設けるか、それが適切かつ公正さを欠くものと認められない限り、その裁量により決定されているものと考えており、常に検討も加えているというふうに聞いております。

 なお、退会給付金につきましては、現在、大阪高等裁判所での判決を受けまして互助会が最高裁に上告中でありまして、その行方を見守りたいと考えております。

 次に、2点目の退会給付金の額についてですが、15年度退職者の平均で申し上げますと、平均退会給付金の額は583万2,023円でございます。また、本人の掛金等の平均額は155万3,262円であります。

 次に、3点目の件でございますが、1点目でも申し上げましたとおり、退会給付金につきましては最高裁の行方を見守っていきたいというふうに考えております。
 また、互助会といたしましては、本年4月から退会給付金を廃止し、退会せんべつ金に変えることによりまして、段階的に額も引き下げ、将来は現在の半分以下になるということも決定しております。
 ヤミ退職金ではという御質問もございましたですが、退職後における職員とその家族の生活の充実安定を図ることは、これを通じて在職中の勤労意欲を高め、執務の能率化に寄与するものであり、広い意味での職員の福利厚生の一部をなすものであるというふうに考えております。

 次に、4点目の給付についてですが、1点目でも御答弁申し上げましたように、法の趣旨に基づき福利厚生事業をどこまで、あるいはどういった事業を行うか、また給付するかは互助会の裁量の範囲でありまして、大阪市を除く府下全市町村が加入しているスケールメリットを生かし、さまざまな事業を行っているものであります。

 最後に、市長、特別職の加入の件でございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、特別職の地位にある者の加入を認めることによりまして、一般職の職員の厚生に好ましくない影響があると認めるに足りる証拠がないという裁判例もあることから、市といたしましては、特別職が互助会の会員になることは問題がないと考えております。また、地方公務員法第42条は、職員に対する福利厚生の実施について事業主の責務を定めたものでありまして、特別職の加入を禁止するというものではないというふうに考えております。

 特別職自身が参画することによりまして全体の事業に寄与することになり、任せるだけでなくみずからも評議員として実施に参画する必要があるものであります。また、互助会の会員となれば、当然規定により給付の対象となるものであるというふうに考えておりますので、よろしく御理解いただきますようお願い申し上げます。
 以上でございます。

再々質問
今までのやりとりをお聞きになりまして、突然ではありますが、当事者である市長の御自分が加入しているということについては、どんな感想をお持ちでございましょうか、一言お聞かせ願えますでしょうか。

答弁
稲田からお答えさせていただきます。
 確かに互助会問題につきましては、いろいろ御指摘いただいておりまして、そういう意味を含みまして、やはり社会経済情勢、時代の推移を見ながら徐々に改善してきておるというのが実態であります。
 私の加入につきましては、これは和泉市だけではなしに大阪府下全体、先ほど言っておりますように常勤か非常勤かと、また裁判の例もございまして、今の段階では私自身加入しておるのは何ら問題ないという判断をいたしております。
 以上でございます

要望
ありがとうございました。
 互助会の給付内容については適切かつ公平性を欠くものと認められない限り、その裁量により決定している旨の答弁ですが、先ほど述べました給付内容は、市民感覚から到底、適切かつ、公平なものとは考えられません。

 退会給付金についても、広い意味での福利厚生の一部をなすとの答弁ですが、民間では考えられないような給付が行われており、これに加えて市の負担が7割もある600万円弱の高額な退会給付金は、福利厚生の範囲を大きく逸脱していると考えざるを得ません。現在、最高裁に上告中でその判断を待つとの答弁ですが、司法の判断を待つまでもなく、常識的に判断されれば、その結果はおのずと明らかになると考えます。

 また、市長及び特別職の加入については、加入を認めることによって、一般職の厚生に好ましくない影響は特段認められないを理由に、問題はないとの答弁ですが、この問題の本質は問題があるかないかではなく、市長及び特別職の見識をお伺いしているものであります。互助会に加入していても、その給付は辞退するぐらいの見識を示してもらいたかったと思います。

 いずれにしてもこの問題は、法の趣旨にも反している部分があり、かつ給付対象についても市民感覚から遊離したものとなっています。市民の目線で考えればおのずと結論は明らかであると考えます。早急に是正するよう関連団体に働きかけていただきますようお願いいたします。

平成16年第2回定例会一般質問