最近の槇尾川ダムをめぐる動きをご紹介します。
☆大阪府建設事業再評価委員会にて条件付き事業継続が決定
再評価委員会は以下のの2点を条件として事業継続を答申
・治水対策上の本ダムの効果及び役割について機能と効率性を更に明確にする事
・自然環境について、専門家の意見を聞くなど、より詳細な調査を行ったうえ、評価及び対策を講じる事
 ☆和泉市長は大阪府からの大津川水系河川整備計画に関する意見照会に対し大阪府知事に回答
  『流域全体の治水安全度の向上を図るため、河川整備計画に基づく事業の促進はもとより、事業推進に当たっては環境に十分配慮するとともに、市民生活の向上に最善を尽くされたい』と回答。
☆大阪府の今年度予算に工事用進入道路の買収予算が計上される。
 平成13年度槇尾川ダム関連予算

項目 金額(千円)
支 出 委託料 35,700
使用料 1,300
工事請負費 38,000
補償補填及び賠償金 20,000
事務費 5,000
支出計 100,000
財源 国庫支出金 50,000
地方債 47,000
一般財源 3,000
財 源計 100,000

その他土地開発公社関係予算92,000千円
    財源はすべて公社による銀行借り入れ
全体で約2億円殆どが借金に依存!
全体で2億円の予算は一般財源からの充当は3百万円しかなく、殆どが借金ないしは借り入れ及び国からの補助です。
ここにも公共事業の借金漬けが端的に現れています

一方小泉首相が主導する構造改革路線の一環としての公共事業の抜本的見直しがにわかにクローズアップされ、ダムの必要性、効果更には環境への配慮等の点で各地の計画の見直しが進んでいます。
最近では和歌山の紀伊丹生川の計画縮小が発表されるなど、水需要の大幅減少、環境への配慮から計画の見直しが避けられない状況となっています。(右上は朝日新聞6/2号より)
大阪府は財政再建団体転落の一歩手前の瀕死の状態にあり、職員のベースアップ凍結、高校総体の開催返上検討などそのしわ寄せが府民に確実に襲ってきています。このような時期に不要不急のダムの建設に何故固執するのでしょうか?
和泉市民はこれは国や大阪府のお金で作るのだからと他人事の様に思っている方も多いのではと危惧しますが、どこからでたお金でも結局は国民の税金が使われるのです。私達自身の問題なのです。
自然環境への影響も大変心配です。山を切り開き大きな構造物を作る事が果たしていいのでしょうか
一度壊せば戻ってこない自然をもっと大事にすべきではありませんか。壊す事は簡単でも、それを元に戻すのは数倍の費用と気の遠くなる様な時間が必要なのです。
米国でのダム見直し、更には撤去の実体が端的に私達に教えてくれています。

 和泉市第2回定例議一般質問会で槇尾川ダム計画の不当性を訴える
ダム計画の契機となった昭和57年8月豪雨による浸水被害についてお尋ね致します。
これは第1回発表(H6年10月付け)53戸が第2回発表(H11年9月29日付)では床上浸水2戸、床下浸水530戸と変更になった件でございます。この件については昨年の第3回議会で質問致しましたが、未だに十分納得が出来ませんので、再質問させて頂きます。
当時の井坂理事の回答によりますと災害時に現場処理した職員から被害個数が少なすぎるとの指摘で、再調査の結果浸水被害が大幅に増加したとの事でしたが、第1回の被害個数が正式に大阪府に報告されている経緯からも大幅な訂正は何らかの意志が働いたのではと危惧しております。
資料をお持ちでない方にはお解りにくいとは存じますが、530戸の根拠となった被害調査資料(昭和57年建設部下水道課資料)についてお聞きします。
資料によりますと530戸、正確には533戸ですが、被害内訳は堤防決壊によるもの一戸、槇尾川からの逆流127戸、その他各水路満杯によるもの405戸となっております。
ダム建設が有効と思える槇尾川氾濫によるものは1戸だけで、ダムにより全てが解消されるとは到底思えませんが敢えて槇尾川からの逆流を含めましても、ダムに係わる被害個数は128戸でしかありません。その他の水路満杯によるもの405戸は農水路管理上の問題であり、ダム建設で解消されるものではありません。
この農水路管理につきましては前回にも申し上げました様に、農水路とは農地に必要なときに必要な量を導水するために設置されるもので、取水、排水時には適宜開口調節を行って管理すべきものです。これが適切に行われておれば被害は防止可能であり、逆に適切に管理できなければダムをいくら作っても何ら効果のないものであります。
以上、大阪府への被害報告が突然変更された点、更に変更後の被害個数も不当に大きく見積もっている点など、ダム計画の基本前提に大きな疑念を抱かざるを得ません。
又これらの不当に大きく評価された資料が和泉市より大阪府に提供されました。この資料が建設事業再評価委員会及び河川整備検討委員会に提出され審議されました。
当然誤った判断がなされたと思われます。
このように事実を歪めてまで何故槇尾川ダム建設が推進されねばならないのか理解に苦しむところです。
ダム建設の効果を頭から否定するものではありませんが、このような不自然なダム計画は総合治水の観点からも再検討すべきではありませんか。
ご案内の様に現在国、地方とも極めて厳しい財政状況にあります。一銭たりとも無駄な支出が許される状況にはありません。和泉市民は国及び府の事業で直接懐が痛まないと他人事の様に考えておられる方がおられるのではと危惧しますが、とんでもない事で全て和泉市市民の問題なのです。取り返しがつかない自然環境を破壊し、効果も疑わしいこのダム計画を多額の税金を使って続けるのですか。
既に一部の予算が執行されようとしていますが、今からでも見直しは可能と考えます。
かって和泉市議会で採択されました槇尾川ダムに対する意見書についても再採択、見直しが必要と考えます。