千葉県我孫子市を行政視察
千葉県我孫子市は茨城県に隣接する人口13万人強の市です。
昨夏の自治体学会の分科会で我孫子市のユニークな補助金制度を知りました。今回総務文教委員会として視察を行いました。
当我孫子市は都心から40分というベットタウンで和泉市同様近隣市と合併せず、この規模で今後まちづくりを行っていくとの事です。千葉県我孫子市では平成12年度より、市が交付する全ての補助金に「公募制度」と「第三者機関による審査」を導入しています。財政の見直しから始まった補助金制度の改革を進める中で、市民活動に交付される補助金の意味や、市民協働の意味についても検討が行われた結果、我孫子市では補助金を「市民活動の自立を支援するためのもの」と明確に位置づけるに至りました。


まずゼロからスタート 市長の鶴の一声で
補助金見直しは昭和61年からの第一次行政改革でスタートしました。しかし実際に廃止されたものはなく、市民活動の高まりと共に補助金の要望が増加しました。
既得権があって補助金をもらっている団体はずっともらい続け、一方で新しい活動を始めた団体は補助金を受け取るのが難しい。
そのような中でH6年度からの第二次行政改革の中で、既得権化した補助金の廃止は困難という状況の中で市長の「全ての補助金を一旦白紙に戻して、本当に必要な事業に補助金を出す仕組みにしよう」という方針が出された。
その結果平成12年度から「公募制」と「第三者機関による審査」の導入が実現しました。
公募の対象となる事業は市民福祉の向上及び市民の利益につながり、公益上の必要性が認められるものです。
交付期間は1〜3年で3年ごとに見直しが行われます。
補助金は申請しないと貰えない仕組みを導入したのです。

審査員は実質ボランティア 膨大な資料と奮闘
第三者機関として補助金等検討委員会が設置され委員は5人で任期は3年。公募はせず会計検査院OB、行政書士、大学教授2名、他市の元総務部長で男女比は半数程度です。
報酬は一日6,500円で3回程度委員会を開催するが、高さ50cmにものぼる資料があるので、持ち帰って処理するので実際はボランティア活動に近いものになっているそうです。

独自の審査基準で定量的に評価
委員会は独自に「審査判定基準」を作成し、@時代に合っているか、A実現の可能性は、B創造性は、C我孫子市らしさは の4項目について審査を行い、委員各自の採点結果を集計し、全員協議でランク付けを行い市長に提言している。
ランク付けが低く、採用されなかった事業も公開ヒアリングで復活の道も作っている。

補助金削減より業務の見直しと適正配分
我孫子市は市民活動が盛んな町で市民公益活動団体は290団体あり、この制度導入により補助金総額は大きくは減少しなかったが、そもそもこの制度は補助金を削減する事が目的ではなく、行政改革の一環として、業務を見直し、支出を適正化することが目的となっている。
例えば各所管課が事務局機能を持っていた団体等は一切職員の関わりを廃止しました。

容易に進まない補助金改革 システムとして改革
既得権化した補助金制度の改革は、選挙の組織票への影響や、財政改革の安易な方策として実行される懸念から、なかなか進まないのが現状です。
私は形骸化した補助金の典型である「納税貯蓄組合への補助金」の削減に取り組みこれを実現したが、これはあくまで個々の補助金の見直しであり、これを制度として定着できるシステム、例えば補助事業の申告制、評価機関の設置等であるが、早急に整備が必要と考える。今後もこのテーマについて努力したい。